OEMとは?種類・メリット・デメリット・OEM委託先の探し方を解説!

OEMとは?種類・メリット・デメリット・OEM委託先の探し方を解説!

他社と差別化できるオリジナル商品が欲しい。自社生産できない商品もラインナップしたい。そんなEC事業者の方であれば、OEMとはなにか?気になっているはずです。

そんな方に向け、種類・似ている生産形態からメリット・デメリットまで、OEMとはなにか?基礎知識を解説!OEM受託企業の探し方も紹介します。

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目次
  1. 1. OEMとは
  2. 2. OEMの種類
    1. 2-1. 垂直分業
    2. 2-2. 水平分業
  3. 3. OEMと似ている生産形態
    1. 3-1. ODM(Original Design Manufacturer)
    2. 3-2. PB(Private Brand)
  4. 4. OEMで生産委託するメリット
    1. 4-1. 設備投資せずにオリジナル商品を製造できる
    2. 4-2. 自社生産できない商品を製造できる
    3. 4-3. 製造量を調整しやすい
    4. 4-4. 販売に専念できる
  5. 5. OEMで生産委託するデメリット
    1. 5-1. 製造に関する利益が得られない
    2. 5-2. OEM委託先が競合になる可能性
    3. 5-3. 自社生産力 / 技術力の成長を阻害
  6. 6. OEM受託企業のメリット・デメリットも知っておこう
  7. 7. OEM受託企業の探し方
    1. 7-1. インターネット検索 / マッチングサイト
    2. 7-2. 展示会 / トレードショー
  8. 8. OEM受託企業の選定ポイント
    1. 8-1. ビジネスパートナーとして信頼関係を築けるか
    2. 8-2. ロット数 / 納期 / 原価
  9. 9. OEMとはなにか?メリット・デメリット含めて紹介しました

OEMとは

OEMとは、他社 / 他社ブランドの製品を製造すること、または他社 / 他社ブランド製品を製造するメーカー / 企業のこと。「Original Equipment Manufacturer」の略称であり、日本語では「相手先ブランド名製造」「納入先商標による受託製造」などと訳されます。

コンピューター機器、自動車、化粧品、AV機器 / 家電、食品、アパレルなど、OEMはさまざまな業種のさまざまな製品に幅広く利用されている生産形態です。それでは、なぜOEMという生産形態が普及したのか?大きくは、製品を投入する市場の成熟度合いに対応するためです。

市場の黎明期

自社の生産体制が整うまで、OEMを利用して市場へ素早く製品を投入

市場の成熟期

需要に供給が追いつかない場合、OEMを利用した増産で需要に対応

市場の衰退期

OEMを利用しながら製品を低コストで供給しつつ、自社生産から撤退

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OEMの種類

普及の理由からもわかるように、もともとOEMは委託側と受託側、双方が生産能力を持つ企業同士の協業関係だったといえます。協業関係に応じたOEMの種類は、大きく「垂直分業」「水平分業」の2つです。

垂直分業

垂直分業とは、高い技術力を持つメーカーが企画 / 設計した製品を、他メーカーへ製造委託するタイプのOEM。ときには、委託側メーカーが受託側メーカーに製造方法を技術指導することもあります。コンピューター機器、食品、化粧品、アパレルなどの幅広い分野で利用される種類のOEMです。

たとえば、Appleはハイエンドワークステーション「Mac Pro」を自社生産する一方、iPhoneの製造は台湾企業「フォックスコン」にOEM委託しています。これは、旺盛な需要のある成熟市場でありながら、短いサイクルで新製品を投入する必要のある、スマートフォンの特性にあわせた販売戦略です。

水平分業

水平分業とは、高い技術力を持つメーカー同士が協業するタイプのOEM。一方向のみの委託 / 受託関係だけではなく、双方が製品を供給しあう場合もあります。自動車、AV機器 / 家電メーカーなどで広く利用される種類のOEMです。

たとえば、トヨタ、ダイハツという自動車メーカー同士のOEM関係はよく知られています。具体的には、トヨタのプリウスアルファはダイハツのメビウスとして、ダイハツのミライースはトヨタのピクシスエポックとして供給 / 販売。OEMによって、それぞれのラインナップを補う関係性が成り立っています。

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OEMと似ている生産形態

そもそもOEMという言葉は、1950年代にIBMで使われ始めた造語だといわれていますが、長い時間をかけて普及が進むうちに意味合いや生産形態も多様化。現在では、生産能力を持たない企業が、OEM企業に製造委託する「委託生産」に近い形態もあり、OEMと似た生産形態を別の言葉で表現することもあります。

ODM(Original Design Manufacturer)

ODMとは、メーカーが企画 / 設計から製造 / パッケージングまでを担当し、完成品・半完成品を委託側企業に納品 / 供給する生産形態のこと。ときにはODM企業がマーケティングを担当するなど、受託側のODM企業が主体となる「OEMを一歩押し進めた」といえる生産形態です。

たとえば、台湾TSMに代表される、半導体ファウンドリーなどがODMの具体例。Original Design Manufacturerという名称通り、メーカー側に高い技術力が求められる生産形態です。

PB(Private Brand)

PBとは、OEM / ODMで供給された他社製造品に「自社ブランド名を冠した商品」のこと。文字通り、スーパー / コンビニなどで販売されている「プライベートブランド商品」をイメージしてもらえばいいでしょう。

つまりPBは、スーパー / コンビニなど、販売する側から見たOEM / ODM商品を意味しており、生産形態そのものを指すわけではありません。

OEMで生産委託するメリット

OEMで生産委託するメリット

ここまでの解説で、意味・種類を含めたOEMの概要を理解できたのではないでしょうか。それでは、EC事業者がOEMを活用し、自社ブランド商品の生産を委託するメリットとはなにか?以下から、簡単に解説していきましょう。

設備投資せずにオリジナル商品を製造できる

OEMを活用することによって、生産設備へ投資することなく自社オリジナル商品を開発 / 製造できます。特に、自社で生産設備を持たない物販系のEC事業者にとっては、競合他社と差別化を図るために有効です。

オリジナル性の高い商品を開発できれば、付加価値を持たせることも可能。物販系EC事業者が抱えやすい問題、価格競争に巻き込まれるリスクも軽減できるでしょう。

自社生産できない商品を製造できる

自社生産設備では対応できない商品も、OEMを活用すれば製造できるというメリットが得られます。自動車メーカーのOEM関係のように、追加の設備投資をすることなく、幅広いターゲットに向けてラインナップを充実させたい、といったニーズにもOEMはピッタリです。

設備投資なしでオリジナル商品を製造できるOEMなら、売れるかどうかわからない商品企画であってもリスクを最小化可能です。

製造量を調整しやすい

需要の増減に対し、製造量を調整しやすいのもOEMを活用するメリットです。自社生産設備を持たないEC事業者であれば、生産不要な時期であっても設備の維持費、人件費はかかりません。

自社でオリジナル商品を製造しているEC事業者であれば、需要増で生産能力が不足しても、OEMを活用することで増産に対応できます。

販売に専念できる

製造をすべて一任する委託型のOEM、あるいはODMであれば、委託側EC事業者は「本来の業務である販売」に専念できます。限られた経営資源をマーケティングに振り分ければ、売上をより拡大させることも可能でしょう。

OEMで生産委託するデメリット

OEMで生産委託するデメリット

いいことばかりのように思えるOEMですが、デメリットがないわけではありません。それでは、EC事業者がOEMで生産委託するデメリットとはなにか?簡単に解説していきます。

製造に関する利益が得られない

自社生産の場合は、製造原価に利益を乗せて販売できますが、OEMの場合、委託側は製造に関する利益は得られません。製造の利益は受託側メーカーが得てしまうからです。

それでも、もしOEMで独自性の高い製品を製造できれば、付加価値としての利益を乗せることも可能。しかし、類似品 / 競合品がある場合は、利益を削って販売価格を調整せざるを得ないことも考えられます。

OEM委託先が競合になる可能性

OEMの委託先(受託側メーカー)が、将来的に自社の競合になる可能性があります。特に、委託側が製造方法の技術指導をする場合のある垂直分業では、受託側メーカーは吸収したノウハウをもとに技術力を高めていくことが可能。力を付けた受託側メーカーが、競合ビジネスに乗り出さないとはいい切れません。

自社生産力 / 技術力の成長を阻害

自社生産能力を持つEC事業者がOEMに依存しすぎると、自社生産能力の低下、技術力の成長を阻害する可能性も。顧客のニーズに合致した製品を、タイムリーに製造できないデメリットが生じるでしょう。

OEM受託企業のメリット・デメリットも知っておこう

ここまでで、生産委託する側から見たOEMのメリット・デメリットを解説しましたが、OEMは委託側・受託側双方がWin-Winの関係を築くための生産形態です。友好的に交渉を進めるためにも、受託側メーカーから見たOEMのメリット・デメリットも知っておく必要があります。

OEM受託企業のメリット

OEM受託企業のデメリット

自社生産設備の稼働率を高められる

委託側の発注増減によって生産力が不安定になる

垂直分業によるノウハウの蓄積・技術力の向上

OEM生産の割合が増えると

自社製品の製造・市場への浸透が阻害される

水平分業による自社ノウハウ・技術の流出

OEM受託企業の探し方

 

メリット

デメリット

インターネット検索

 / マッチングサイト

・手軽にOEM受託企業を探せる

・日本全国のOEM受託企業が対象

・候補先の絞り込みに手間がかかる

・WebサイトのないOEM企業は探せない

展示会 / 

トレードショー

・多数の関連OEM受託企業が集まる

・商品サンプルを直接見れる、

製造者と話ができる

・開催数が少ない(年1〜2回)

・開催場所が限定される(東京・大阪など)

それでは、協業相手となるOEM受託企業・メーカーは、どのような方法で見つければいいのでしょうか?おすすめの方法は「インターネット検索 / マッチングサイト」もしくは「展示会 / トレードショー」です。

インターネット検索 / マッチングサイト

Webサイトがビジネスに必須のものとなった現代では、OEM受託企業もインターネットで探しやすくなっています。開発・製造を依頼したい商品名に「OEM」を追加することで、候補となるメーカーを絞り込んでいけるでしょう。

また、特定の業種・商品に的を絞ったマッチングサイトを利用する方法も。代表的なサービスとしては、食品開発OEMに特化した「食品OEMマッチング」、化粧品・健康食品に特化した「BENTEN」などが挙げられます。

インターネット検索 / マッチングサイト

画像出典:株式会社丸信「食品OEMマッチング」

インターネット検索 / マッチングサイト

画像出典:株式会社Cogane studio.「BENTEN」

展示会 / トレードショー

展示会 / トレードショーは、委託先候補となり得る多数のOEM受託企業を、実際に目で確認できる絶好の機会です。食品と飲料に特化した「食品&飲料OEM Expo」、化粧品に特化した「化粧品開発展」、美容・健康食品に特化した「インナービューティーEXPO」などが定期的に開催されています。

展示会 / トレードショー

画像出典:食品&飲料OEM Expo

展示会 / トレードショー

画像出典:RX Japan株式会社「化粧品開発展」

展示会 / トレードショー

画像出典:RX Japan株式会社「インナービューティEXPO」

OEM受託企業の選定ポイント

OEM受託企業の選定ポイント

最後に、OEM受託企業・メーカーを選定する際に気をつけておきたいポイントを簡単に解説しておきましょう。

ビジネスパートナーとして信頼関係を築けるか

もっとも重要なポイントは「自社が作りたいものを作れる技術力・生産力を持っているか」そして「ビジネスパートナーとして信頼関係を築けるか」です。当たり前のことではありますが、下請け関係とは明確に異なる、OEMならではのポイントだともいえるでしょう。

ロット数 / 納期 / 原価

委託する商品のロット数 / 納期 / 原価が、希望の範囲内に調整できるかどうかも、OEM受託企業を選定する際のポイントです。なぜなら、OEM受託企業・メーカーは、自社製品を製造している場合もあれば、他社のOEM製品を製造している場合もあるからです。

時期によって発注数が大きく増減する可能性があるなら、複数の受託企業に依頼することも視野に入れておくべきでしょう。

OEMとはなにか?メリット・デメリット含めて紹介しました

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右肩上がりの成長を遂げているとはいえ、EC市場の競争は激化する一方。リスクを抑えながらオリジナル商品を開発・製造できるOEMを活用し、他社との差別化に役立てましょう。

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