売上アップを狙えるEC戦略10選 | 成功した企業事例もご紹介
ECサイトの売上を伸ばすために、どのような施策を打つべきかお悩みの方もいるかと思います。
そこで本記事では、売上アップを狙えるEC戦略をご紹介。EC戦略を立てる前に押さえておくべきポイントや注意点、成功した企業事例まで詳しく解説します。
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EC戦略を立てる前に押さえておきたいポイント
EC戦略を行うにあたって、押さえておきたいポイントがあります。戦略実行前に以下の4つを確認しておきましょう。
1. 売上の計算方法を理解する
まず前提として、ECサイトにおける売上の計算方法を理解しておきましょう。売上は以下の計算式で求めることができます。
売上=サイト訪問者数×CVR(購入率)×客単価
ECサイトの訪問者のうち、実際に商品を購入した人の割合がCVR。購入者の1回あたりの購入単価を示したものが客単価です。ECサイトの売上を伸ばすためにも、サイト訪問者とCVRは多ければ多い程よいでしょう。
客単価については、企業の方針やブランドもあるので、お客様の満足度にあわせて最適な価格を設定することが大切です。単価を安く抑えたい場合は、サイト訪問者のCVRを伸ばすための施策を行うなどの工夫が考えられます。
2. 競合サイトを分析する
ECサイトを立ち上げる際は、自社の競合となるサイトを分析することも重要です。同じジャンルの商品を扱っているサイトが主な競合となるでしょう。競合他社の傾向を分析するために、以下のような項目をチェックします。
- 他社とターゲット層は被っていないか
- 他社の付加価値は何か
- 自社と他社の市場のシェア率はどうか
- 他社の価格帯はどうか
- 他社商品の魅力や訴求点はどこか
上記の項目を深掘りし、自社と他社の違いを明確にしたり、業界における位置付けを確認したりします。競合の傾向が掴めたら、「ECサイトの機能」や「マーケティング戦略」など、具体的な部分も調査しましょう。
3. ポジショニングの明確化
ポジショニングとは、他社ではなく「自社」を選んでもらうための考え方です。顧客に満足していただくために、自社としてやるべきことを明確にします。たとえば以下のように考えます。
- 商品を使うことで顧客に与えられるメリットは?
- 商品によって顧客のどのような悩みを解決できるか?
- 自社の商品でしか与えられない顧客体験とは?
ポジショニングで大切なのは「顧客目線」です。顧客のニーズを深掘りしつつ、自社の優位性を明確にします。
4. ターゲットの絞り込み
ECサイトの売上を伸ばすためには、ターゲットの絞り込みが重要です。ターゲティングでは、自社商品の「ペルソナ」を設定しましょう。ペルソナとは、自社商品を売りたい「たった1人の人物像」です。ECサイトでキッチン用品を販売する場合、ペルソナは以下のように設定します。
- 30代前後の専業主婦
- 都市部在住で住宅と車持ち
- 家事育児・家計管理で忙しい
- 夫の年収は400〜500万円程度
ターゲットとなる人物の年齢や性別、居住環境、経済状況などを具体的にイメージしましょう。ペルソナを設定することで、自社に合った戦略を選定でき、最短距離でのアプローチが可能となります。CVRの向上やコストの削減による売上の最適化にもつながるでしょう。
ECサイトの売上アップを狙うための戦略
本題であるECサイトの戦略を見ていきましょう。ECサイトの売上アップが期待できる10の戦略をご紹介します。
- 自社サイトと複数のECモールを横展開する
- オムニチャネル戦略を実践する
- 自社アプリを開発・導入する
- コンテンツからの流入を狙う
- キャンペーンで初回購入を促す
- メルマガ配信でリピート・ファン化を促す
- SNSを活用する
- マーケティング活動を自動化する
- ユーザー目線に立ってサイトを改修し続ける
- 越境ECでターゲットを海外に広げる
1. 自社サイトと複数のECモールを横展開する
売上を最大化させるためには、自社サイトと複数のECモールの同時展開がおすすめです。ECモールとは、Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングなど、多くの店舗が1つのプラットフォームに集まって出店する形式のECサイトのこと。複数のECモールを利用することで、自社ECで足りない集客力をカバーできます。
メリット
- ECモールの集客力を活かせる
- ECモールのサポートを受けられる
自社ECでは、自前で集客を行わなければならないため、ショップの認知が広がるまでに時間がかかります。その点ECモールは、最初からECモールの利用者がいるため、ショップの認知が広がりやすいです。
ECモールはサポート体制も整っています。物流業務をワンストップで依頼できたり、ECサイト運営のアドバイスを受けられたりと、モールを頼りながらのショップ運営が可能です。
デメリット
- 契約コストが大きい
- ECモールだけではブランディングが難しい
デメリットは契約コストです。当然、複数のECモールを契約すれば、初期費用や月額費用が発生します。複数のECモールを管理しなければならない労力も必要です。
また「ECモール」としてのブランド力が高いため、各店舗の認知が広がりにくいのも難点。ユーザーも「Amazonで買った」「楽天で買った」など、モールで購入した印象が強いため、自社の認知やブランディング向上には繋がりにくいデメリットがあります。
2. オムニチャネル戦略を実践する
オムニチャネルとは、ECサイトやSNSなどの「チャネル」を横断して顧客にアプローチする仕組みのこと。チャネルの例として以下のものがあります。
- 自社ECサイト
- ECモール
- 実店舗
- アプリ
- SNS
- コールセンター
- カタログ
これらの「チャネル」を複数運営することで、顧客との接点を増やします。顧客が各チャネルを意識せず、横断的に情報を得られるのが理想です。
メリット
- 顧客にとっての利便性が上がる
- 運営側は顧客データを分析しやすい
ECサイト以外にチャネルがあると、顧客にとっての利便性が高まります。複数のチャネルを持つことで顧客の取りこぼしを減らすことにも繋がるでしょう。また、ECサイトだけでなく、アプリのDLユーザー、カタログの請求者など多くの顧客データを集めることが可能です。顧客分析によって、さらに正確なアプローチが可能となります。
デメリット
- チャネル同士の連携バランスが難しい
- 成果が出るまでに時間がかかる
オムニチャネルではチャネル同士を連携させる必要があります。しかし、各チャネル同士の連携バランスが取れていないと、お互いに足を引っ張り合ってしまうことも。たとえば、いつも実店舗で購入してくれた顧客がECサイトに流れることで、利益率が下がってしまった、などのケースです。
また、チャネルを立ち上げてもすぐには認知されません。成果が出るまでに時間がかかります。複数のチャネルを持つとそれだけコストも大きくなるため、チャネルを維持するための資金的な体力も必要です。
3. 自社アプリを開発・導入する
資金に余裕がある場合は、自社アプリも効果的です。最近では、検索エンジンよりもアプリで買い物をするユーザーが増えています。顧客を囲い込めるという意味でも、自社アプリの開発・導入は効果的といえます。
メリット
- 顧客の利便性が飛躍的に上がる
- オムニチャネルと相性がよい
まず、顧客の利便性が大幅に高まる点です。たとえば、楽天市場で買い物をする場合、Google検索で「楽天」を立ち上げるよりも、楽天市場のアプリをダウンロードし、欲しい商品があるときにアプリを起動させた方が手軽です。また自社アプリは、先述したオムニチャネルの1つとしても運用できます。
デメリット
- アプリ開発のノウハウが必要
- 大きなコストがかかる
アプリ開発では専門的なノウハウが必要です。アプリ内に何のコンテンツを入れるのか、どのような機能が実装するのかなど。自社にアプリ開発のできる人材、あるいは制作会社への依頼が必要となります。
また、アプリ開発はコストが大きいです。アプリの種類にもよりますが、数百万円〜数千万円程度は見ておく必要があります。
4. コンテンツからの流入を狙う
ECサイトを使ったコンテンツマーケティングを行う方法です。最近ではECモールもアプリ流入が多いですが、検索エンジンからの流も無視はできません。ECサイトのおけるコンテンツマーケティングでは、サイト内に記事を公開するなどで有益なコンテンツを増やし、検索エンジン上位表示を狙います。
メリット
- ECサイト自体が付加価値となる
- オピニオンリーダーになれる
自社のECサイトで魅力的なコンテンツを配信すれば、サイト自体がユーザーにとっての付加価値に。サイト内にコンテンツは残り続けるため、長期的にアクセスを集められる「資産」となります。
オピニオンリーダー(情報の発信源)となれるのもメリット。ユーザーにとって有益で魅力的なコンテンツを配信し続けることで、「あのサイトを見れば欲しい情報を得られる」と信頼を得られます。記事にアクセスし、そこで興味を持ったユーザーが商品を購入するという流れが生まれるのです。
デメリット
- 成果が出るまでに時間がかかる
- コンテンツ作成に工数がかかる
コンテンツを作っても、すぐにアクセスは伸びません。サイト内の記事数を増やした上で、競合記事よりも魅力的でなければ、検索エンジンから評価されないのです。そのため、成果が出るまで最低でも半年は見ておく必要があります。
また、コンテンツ作成に時間がかかるというデメリットも。キーワードの選定や構成作成、本文のライティング、ECサイトへの入稿など、1本の記事を作るだけでも大きな工数が発生します。
5. キャンペーンで初回購入を促す
ECサイトにおいて「初回購入」はとても重要です。初回購入されることで2回目、3回目のリピートに繋がります。初回購入を促す施策として以下のものがあげられます
- 初回購入限定の特典を付ける
- レビューを増やして商品の信頼度を高める
- 決済方法の幅を広げる
- カゴ落ちツールを導入する
- 送料無料キャンペーンの実施
- 会員登録なしでも購入しやすいサイトの構築
ECサイトを見て「興味はあるけど、価格に見合っているのかわからない」「買って後悔しないか不安」と悩むユーザーは多いです。上記のような、ユーザーに信頼してもらうための機能や仕組みを取り入れることで、初回購入を促進できます。
6. メルマガ配信でリピート・ファン化を促す
メルマガ配信も効果的な戦略。ショップ側にとってメールアドレスは高い確率で取得できる顧客情報です。顧客と直接対面できないECサイトにとって、メールアドレスは貴重な情報。メルマガ配信にはユーザーの許諾が必要ですが、読んでくれる人も多いです。
メルマガでは、新商品の紹介やお役立ち情報を配信。メルマガでしか配信しない裏情報などもよいでしょう。定期的なメルマガ配信によって、顧客のリピート・ファン化を促進。また、休眠顧客にECサイトを思い出してもらえる効果もあります。
7. SNSを活用する
TwitterやInstagramなどSNSの活用も効果的な戦略です。ECサイトの売上に直結する可能性は低いですが、顧客との「コミュニケーション」を取ることができます。コミュニケーションを継続すれば、やがてファンになってくれる人も現れるでしょう。
また、Twitterなど拡散力の高いSNSでは、「バズる」可能性も。たとえば、インフルエンサーとコラボして自社商品を紹介してもらえば、拡散が拡散を呼び、一気に認知が広がる可能性があります。
8. マーケティング活動を自動化する
ECサイト運営におけるマーケティング活動を自動化する方法です。MA(マーケティング・オートメーション)と呼ばれています。
たとえば、見込み客をリスト化してメルマガを一斉送信するなどの方法です。見込み客を新規顧客に、新規顧客をリピーターにするために、MAツールを活用してマーケティング活動を自動化します。
一般的に、MAツールには以下のような機能が備わっています。
- 顧客リストの作成
- 名刺データのスキャン
- メールの配信
- シナリオ作成
- LPやフォームの作成
- レポート作成
- スコアリング(見込み客の受注確度を算出する機能)
マーケティング・オートメーションは、あくまで既存業務を最適化する施策です。そのため、ECサイトへの流入や問い合わせの母数が大幅に増えるわけではありません。売上の大幅アップが見込める施策ではないので注意しましょう。
9. ユーザー目線に立ってサイトを改修し続ける
ECサイト自体の「見栄え」や「操作性」も重要なポイント。ユーザーにとってわかりやすく、使いやすいサイトであることが大切です。
一度作って終わりでなく、必要に応じてサイトをアップデートし続けましょう。もし自分がユーザーなら何の機能やサービスが欲しいか、どのようなアプローチを受けたら買いたい気持ちになるか、など。ユーザー目線に立ったECサイトの作成・運営を心がけましょう。
10. 越境ECでターゲットを海外に広げる
越境ECとは、国境を超えて商品を販売するECのこと。自社サイトやECモールを使って、日本から海外に向けて自社商品を販売します。アメリカやヨーロッパ、中国などを対象に越境ECに取り組んでいる企業もありますが、まだまだ少ないのが現状です。
実は、海外における日本製品の需要は大きいです。クオリティの高さや安全性から「日本製品は信頼できる」と思っている外国人と多く、越境ECに取り組んでいる国内の競合も少ないため、チャンスといえるでしょう。
EC戦略策定の際に気をつけるべきポイント
続いて、EC戦略を策定する際に気をつけるべきポイントをご紹介します。
1. 自社にとっての費用対効果を考える
ECサイトの戦略はさまざまですが、自社の費用対効果に見合った戦略を選ぶことが大切です。たとえば、予算に余裕がない場合、1度に数百万円以上がかかるアプリ開発はおすすめできません。
戦略によってコストと期待できる効果は異なります。かけた予算を本当に回収できるのかを念頭に置いて、戦略を考えましょう。
2. ユーザーに誤った情報を提供しない
ECサイトの売上を伸ばすためには、ユーザーからの信頼が大切です。信頼を得るためにも、送料や手数料の有無、配送方法、決済方法などショップの基本情報は正確なものを伝えましょう。
1つの誤った情報がユーザー離れのきっかけとなるので、サイトを編集する際は十分に注意してください。
3. 購買意欲に応じて適切にアプローチをする
ユーザーの購買意欲に応じたアプローチも重要です。インターネットの影響で情報社会となった昨今。個人が自由に情報を選べる上に、商品を購入する手段も多様化しました。
従来はユーザーの大まかな属性だけで十分にアプローチ可能でしたが、今の情報社会では難しいでしょう。たとえば、ユーザーの行動に準じてメルマガの内容を変えるなど、個人の購買意欲に応じたアクションをすることが大切です。
EC戦略に成功した企業事例
EC戦略の種類や概要をお伝えしましたが、それだけでは実行のイメージが湧きにくいかと思います。ここでは、EC戦略に成功した企業やECショップの事例をご紹介します。
セブン&アイ
画像引用:セブン&アイ・ホールディングス
セブン&アイ・ホールディングスでは、2013年頃から「オムニチャネル」を中心としたビジネスモデルの完成を目指しています。最初の一手として「EC」に注目。2013年にカタログ通販大手のニッセンを買収し、ニッセン商品をセブンイレブンで受けとれる仕組みを構築しました。
今では衣料やインテリア、百貨店などさまざまな企業と提携し、商品の一括購入やネット購入商品の店頭受け取りサービスなどを提供しています。
北欧、暮らしの道具店
画像引用:北欧、暮らしの道具店
北欧、暮らしの道具店では、株式会社クラシコムが運営するECサイトで、「コンテンツマーケティング」に注力。単に商品を販売するだけでなく、商品に対する想いやストーリー、お役立ち記事、動画などさまざまなコンテンツを公開しています。
毎日更新されるコラムでは「家という空間」や「哲学と人生」についてなど、日常生活にかかわる読み物を配信。ECサイトによって独自の世界観を伝えることで、ユーザーの興味や購買意欲アップに繋げている事例です。
北海道お土産探検隊
画像引用:北海道お土産探検隊
北海道お土産探検隊は、北海道の名産品を扱っているECサイトです。同サイトでは「越境EC」に力を入れており、今では国内・海外の両方から人気を集めています。
越境ECの黎明期、国内ECモールを活用して越境ECをスタート。翻訳機能を利用しながら、外国人ユーザーとコミュニケーションを取り、少しずつ売上を伸ばしていったそうです。
また、売上が伸びてきた頃、北海道在住の留学生が加入。現地の言葉や文化事情に精通している人材を確保したことで、顧客満足度向上に繋がったといいます。
【まとめ】自社に合った戦略を練って、ECサイトの大幅売上アップを図ろう
本記事では、あわせて10のEC戦略をご紹介しましたが、企業によって向き不向きがあります。予算や目的もさまざまなので、自社にとっての費用対効果の高いEC戦略を選ぶことが大切です。また、ECサイトではユーザーからの信頼が重要となるため、利用者側にとってわかりやすく、使いやすいECサイトを構築しましょう。
なお、ECサイト制作会社の探し方・選び方がわからない!という方はEC幹事にお気軽にご相談ください。貴社の目的・予算に合った最適な会社を厳選してご紹介します。相談料・会社紹介料などは無料です。