ライブコマースとは?日本の事例やおすすめのプラットフォームを解説
ライブコマースの導入を検討しているものの、導入の方法や注意点が分からず不安に思う人も多いのではないでしょうか。
本記事ではライブコマースの事例やおすすめのプラットフォームなどについて解説します。この記事を読めば、ライブコマースを自社でどのように導入すべきか、具体的なやり方がイメージできるでしょう。
ライブコマースとは
ライブコマースとは、ライブ配信しながら商品や店舗を紹介する販売手法です。
動画はリアルタイムで配信され、視聴者からのコメントにもその場で返事ができるため、双方向のコミュニケーションができます。紹介した商品やサービスのECサイト、SNSなどに誘導し、そのまま購入してもらうことが可能です。
配信プラットフォームはいくつかありますが、有名なところでいえば、インスタライブやYouTubeなどが挙げられます。
ライブコマースの現状と事例
ライブコマースは比較的新しい販売手法ですが、世界の様々な場面で導入されています。ここでは、日本の現状と特にライブコマースが浸透している中国での事例について紹介します。
日本の市場
KDDI総合研究所によると、2022年4月時点でライブコマースで何かしらの商品を購入したことがある人の割合は2.8%程度でした。
参考:調査レポート R&A「日本におけるライブコマースの現状」
ただし、経済産業省によると、2019年の日本のECサイトの市場規模は19.4兆円にのぼり、前年度の18.0兆円と比較して、7.65%成長しています。ECサイトの市場規模は今後も拡大すると見られ、ライブコマースも同様に発展する可能性が期待できるでしょう。
渋谷パルコでは、中国人インフルエンサーを起用し、中国人向けの商品をライブで紹介した事例などがあります。
参考:中国ライブコマースに渋谷パルコが挑戦!海外向けの新たな販売戦略
中国の市場
中国ではライブコマースをいち早く取り入れており、市場が拡大しています。新型コロナウイルスによる社会情勢の変化によって、2020年頃からより注目を集めるようになりました。
2020年にECプラットフォームが実施したライブコマースは2,400万回以上。KPMGとアリババ集団傘下のアリ研究院のレポートによると、2021年のライブコマース市場は前年比90%増の1兆9,950億元に達する見込みだとしています。
参考:JETRO|ライブコマース、健全な発展を見据えて(中国)
ライブコマースのメリット
ライブコマースは多くの人の注目を集めていますが、具体的には以下のメリットが挙げられます。
それぞれのメリットについて、次で解説します。
臨場感のある情報が伝えられる
ライブコマースは臨場感のある情報を伝えられることがメリットです。生放送だからこそ編集がなく、何が起きるか分からないドキドキ感があり、多くの人を引きつけやすい生き生きとした情報を提供できます。
リアルタイムにコミュニケーションできる
リアルタイムの放送を通して、同じ時間を共有でき、生配信だからこその臨場感があります。コメントを通して、配信者に直接感想や疑問を伝えられ、双方向の交流が可能です。
「購入します」と伝えたら、「ありがとう」と返ってくるなど、ライブだからこその熱量ある交流が期待できます。
オンラインで完結できる
ライブコマースはオンラインで完結することがメリットです。
また、店舗でのイベントとは異なり直接的な接触を避けられるため、感染症のリスクがなく、効率的に商品をPRできます。
購入動線をつくりやすい
ライブ配信は購入動線を作りやすいことが魅力です。例えば、ライブ配信の画面上に商品の購入ページのリンクを添付でき、ライブ配信終了後にそのまま購入できるよう動線設計ができます。
ライブコマースの実施手順
ライブ配信を実施する際には、配信環境や在庫と購入動線の確保など、様々な準備が必要です。
ここでは、ライブコマースの実施手順について具体的に解説します。
配信環境の整備
配信のためのパソコンやカメラなど通信環境の準備も大切です。事前にテストもしておきましょう。配信内容にもよりますが、大まかに準備すべきものとして以下が挙げられます。
- 配信用のパソコン
- カメラ
- 三脚
- マイク
- 照明
- キャプチャーボード(カメラ画像や動画をPCに取り込むための機材)
万が一の通信トラブルは視聴者数を大きく下げる要因になるため、適切な準備ができているかどうか、念入りに確認することが大切です。
在庫と購入動線の確保
ライブ配信の終了後、商品やサービスの発注が増える可能性があるため、事前に一定の在庫とスムーズな購入のための動線を確保しておくことが大切です。動線がスムーズでなく、エラーで購入できないなどの問題が起きると、購入意欲を削いでしまう可能性があります。
スムーズな動線確保が売り上げに与える影響は大きいため、顧客が商品やサービスを問題なく購入できるよう準備しましょう。
集客
ライブ配信はコンテンツがよくても視聴者数が少ないと、売り上げにつながりません。SNSなどで配信について告知し、多くの人に知ってもらうことが大切です。
例えば、シェア数に応じて特典をつけるなど、シェアを促す工夫などが求められます。
想定される質問への回答準備
ライブ配信の前に想定される質問への回答準備をしておくことも大切です。事前準備をしておくことで、実際に視聴者から質問があった際にスムーズに答えられ、より購入意欲を高められます。
また、ライブコマースが一方的なプレゼンにならないよう質問しやすい雰囲気や台本作りも大切です。
ライブコマースのプラットフォーム・サービスのおすすめ6選
ライブコマースは様々なプラットフォームがあるため、目的にあわせて選ぶことが大切です。
ここでは、ライブコマースにおすすめのプラットフォームを紹介します。
YouTube
画像引用:YouTube
YouTubeは2020年時点で月間利用者数は6,500万人以上と非常に利用者が多く、視聴者の年齢層も幅広いことが特徴のプラットフォームです。配信は無料ではじめられるため、ハードルが低いことも特徴といえます。
参考:Think with Google|月間 6,500 万ユーザーを超えた YouTube、2020 年の国内利用実態──テレビでの利用も 2 倍に
その反面多くの競合がいるため、集客の難易度は高く、Youtube内で検索順位を上げるためのSEO対策やSNS運用が重要です。
画像引用:Instagram
Instagramのライブストリーミング機能、「インスタライブ」を通して、スマホで配信できるプラットフォームです。Instagramの国内月間アクティブアカウント数は2019年3月時点で3300万を超え、非常に多くのユーザーが利用しています。
ライブルームという機能により、4人のユーザーが同時に配信でき、視聴者に対してアプローチが可能です。
参考:Instagramの国内月間アクティブアカウント数が3300万を突破
SHOPROOM
画像引用:SHOPROOM
SHOPROOMは、SHOWROOMのライブ配信中に商品を購入できる機能です。演者のおすすめ商品を直接購入できる機能があり、スムーズなライブコマースの動線が作れます。
乃木坂46のアイドルなど、芸能人の配信が多く、主に10代から30代までの層にアプローチできます。話題性の高い商品を紹介するのにおすすめの配信方法です。
C Channel
画像引用:C Channel
C Channelは女性をターゲットにした動画メディアで、メイクや、コスメについての動画を中心に配信できます。20代から30代のユーザーを中心に、約2,600万人のフォロワーがおり、ファッションに高い関心のある女性にアプローチするのに効果的なメディアです。
参考:PR TIMES|C CHANNEL、2,600万人のフォロワーに向けてメディアを再構築。コンプレックスを武器に変えるライフスタイル提案メディアへ
ライコマ
画像引用:ライコマ
ライコマはECカートと連携できるライブコマースツールです。ライブを視聴しながらカートへの商品追加ができるため、ユーザーの離脱率を抑えやすくなっています。
月額3万円から利用でき、ライブコマースの実績やノウハウを生かした、運用サポートまで対応していることが特徴です。
LIVEPARK
画像引用:LIVEPARK
LIVEPARKはECサイトとの連携機能があるライブサービスです。配信はWebサイトに埋め込みでき、YouTube Liveとの連携機能や、有料チケットを使ったライブ配信にも対応しています。
ブラウザ上で視聴できるため、ユーザーはアプリなしで楽しむことが可能です。
ライブコマースの注意点
ライブコマースはやり方を間違えると問題が生じる可能性があるため、注意が必要です。
それぞれの注意点について解説します。
炎上やトラブルのリスクに備える
ライブコマースには、炎上やトラブルのリスクがあり、場合によっては大きな損失を生むことがあります。事前に配信内容はよく打ち合わせておき、トラブルを回避できるよう万全の体制を整えましょう。
具体的には以下のようなトラブルが挙げられます。
- 関係のない他人が映り込む
- 不適切なコメントへの対応が悪い
- 映り込んだ内容から演者の住所がバレてしまう
万が一トラブルを起こしてしまった場合には、早期に対応し、炎上の影響が大きくなる前に対処しましょう。
運用体制を整える
一度に大量の発注が入る可能性があるため、注文に対して、トラブルなく対応できる体制を整えることが大切です。
運用体制が整っておらず、配送の遅れなどのトラブルがあると、ユーザーが購入する機会をなくす可能性があります。SNSなどでよくないクチコミが広まる可能性もあるでしょう。
誇大広告を避ける
特定商取引法により、誇大広告は禁止されているため、商品やサービスについての過剰なPRは避け、広告内容は念入りに確認する必要があります。
また、弁護士によるリーガルチェックを受けておくと、安心できるでしょう。
ターゲットにあわせてコンテンツを作る
ライブコマースを成功させるには、ターゲットにあわせたコンテンツであることが大切です。ターゲットによって、最適な配信開始時間やコンテンツの長さ、頻度など、違いがあります。
例えば20代や30代の男性であれば、仕事終わりの18時〜21時ごろの配信が効果が期待できるでしょう。ただし、実際の客層は配信してみなければ分からない部分のため、試行錯誤して、最適な内容を模索することが大切です。
ライブコマースの魅力や導入方法について解説しました
本記事ではライブコマースの魅力や導入方法について解説しました。
ライブコマースは今後成長が期待できる販売方法の1つです。ただし、炎上などのリスクもあるため、事前に準備し、顧客の動線を念入りに作った上で、取り組む必要があるでしょう。