カゴ落ちとは?10の原因と対策・売上を伸ばす改善方法まで解説
ECサイト運営で大きな課題となるのが「カゴ落ち」です。もし売上が伸びずに悩んでいるのであれば、カゴ落ちが原因の1つかもしれません。カゴ落ちには様々な理由があるため、それぞれ対策をすれば売上を改善できるでしょう。本記事を読めば、カゴ落ちの10の原因と対策方法を理解できます。ぜひご活用ください。
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カゴ落ちとは
カゴ落ちとは、ユーザーがECサイトでカート(買い物カゴ)に入れた商品を購入せずに離脱してしまうことです。「カート放棄」とも呼ばれます。EC事業者としては、ユーザーが決済寸前まで進んだにもかかわらず、なんらかの理由でユーザーが購入意欲を失ってしまう状況は避けたいものです。なぜなら、カゴ落ち率が高いと売上が伸びにくくなるからです。
たとえば、カゴ落ち率50%のECサイトがあったとします。仮にカゴ落ち率が25%まで改善すると、売上は倍になります。売上を伸ばすには
- ECサイトの訪問者(PV)を増やす
- 客単価を上げる
- カゴ落ち率を下げる
のいずれかが必要です。しかし、PVを増やしたり、客単価を上げたりするのは容易ではありません。カゴ落ち率の改善は、他2つと比べても取り組みやすい施策であり、結果が早く出るという特徴があります。
カゴ落ち率の平均値
米Baymard Instituteの調査(48 Cart Abandonment Rate Statistics 2023)によれば、カゴ落ち率の平均は69.99%であるとわかっています。想像以上にカゴ落ち率は高いのです。しかし、カゴ落ち率が高いということは、伸びしろがたくさんあるとも考えられます。
- なぜカゴ落ちが発生するのか
- ユーザーはどうして買わないまま離脱してしまうのか
原因を突き止めて対策すれば、ECサイトの売上を大きく伸ばせる可能性があるでしょう。
カゴ落ちの理由は?10の原因と対策
以下はカゴ落ちの原因一覧です。
原因 |
対策 |
商品をカートに入れたまま忘れた |
カゴ落ちメールを配信する |
送料・手数料が高い |
なるべく送料や手数料は下げる |
配送方法や日程が希望に合わない |
配送オプションを設ける |
希望する決済手段が使えない |
幅広い決済手段を揃える |
疑問や不安が残っている |
FAQやメール・電話サポートなどを充実させる |
決済フォームが使いにくい |
シンプルなUIとストレスのない表示スピードを心がける |
アカウント登録しないと購入できない |
ゲスト会員でも購入できるようにする |
想像以上に高額になってしまった |
決済画面でなくても総額が確認できるようにする |
クレジットカード情報を入力したくない |
ユーザーの不安を取り除く文言を記載する |
決済途中でエラーになってしまった |
安定したECサイトを構築する |
【原因】商品をカートに入れたまま忘れた
商品をカートに入れたものの、購入する直前で用事が入ってそのまま忘れてしまうパターン。複数のECサイトを比較検討していて、他サイトで購入されてしまうパターンもあります。
また、ネットサーフィンで欲しい商品を見て回っていたら、他に興味があるサイトを見つけて戻ってこない人もいるでしょう。
【対策】カゴ落ちメールを配信する
商品をカートに入れたのを忘れてしまった人には「商品がカートに入ったままですよ」という旨のメールを送信することで、カゴ落ちを回避できます。もちろん、すべてのユーザーがカゴ落ちメールを見て購入してくれるわけではありません。しかし、一部のユーザーはカゴ落ちメールを見れば需要がまた喚起される可能性があります。
カゴ落ちメールを送るベストタイミングは、商材によってまちまちですので明言は難しいですが、期間を空けながら3回ほど送るのが効果的と考えられています。
ただし、カートに入れられた商品が一定期間購入されない場合、自動的に商品が削除されるカートシステムもあります。そういう場合は、自動削除されるまでにカゴ落ちメールが配信されるようにしましょう。
カゴ落ちメールを手作業で配信するのは現実的ではありません。カゴ落ちメールを検討するなら、MA(マーケティング・オートメーション)ツールを使うのがおすすめです。ツールがカゴ落ちメールを自動的に配信してくれます。
【原因】送料・手数料が高い
ユーザーが商品を検討しているときは、本体価格を見ていても、送料まで意識することはほとんどありません。そのため、送料や手数料を見るのは商品をカートに入れて購入手続き画面を開いたタイミングとなります。
特に安い商品は、本体価格よりも送料の方が高くついてしまうケースもあり、カゴ落ちの原因になりやすいのです。一方でECサイトによっては、購入金額に応じて送料が無料になるところもあります。そのため、高額な商品であれば送料が原因でカゴ落ちする可能性は減るでしょう。
【対策】なるべく送料や手数料は下げる
ユーザーが、送料や手数料などの追加費用を嫌うのは否定しようのない事実です。そうであれば、打てる対策は可能な限り送料や手数料を安くすることでしょう。
とはいえ、単価の低い商品の送料まで負担していると利益を出すのは難しくなります。そのため、
- なるべく客単価を上げながら「送料無料ライン」まで購入してもらえるようにする
- ユーザーが送料を計算しなくていいように全国一律で送料を決める
などの戦略が必要になります。
【原因】配送方法や日程が希望に合わない
友人に誕生日プレゼントを贈りたい、母の日、父の日にギフトを贈りたいという方にとって配送日は重要です。とくに、ユーザーによっては「明日までに届けたい」というニーズもあります。いい商品を見つけてカートに入れたとしても、配送日程が希望と合わなければ離脱されてしまうでしょう。
また、自宅以外の場所で受け取りたい場合に「コンビニ受け取り」のような選択肢がないのは不便です。ユーザーが想定している配送方法が用意されていないのは、やはりカゴ落ちの原因になります。
【対策】配送オプションを設ける
配送方法についてはオプションを設けることで解決します。たとえば、明日までに届けてほしいユーザーには「お急ぎ便」のような選択肢を用意する。
受け取り方法についても「コンビニ受け取り」「置き配」などがあれば、忙しくて受け取る時間がないユーザーでも気軽に注文できるでしょう。
近年では、駅やドラッグストア、駐車場などにオープン型宅配便ロッカーが設置されているケースもあります。ユーザーは、好きな時間と場所を指定して郵便物を受け取れるメリットがあり、徐々に利用者が増えています。
【原因】希望する決済手段が使えない
JACCSが2022年に行った調査によれば、希望する決済手段が使えない場合「違う決済方法を利用する」のは36.1%であることがわかりました。残りは「別のサイトで購入する(43.2%)」「買い物をやめる(20.2%)」となっています。
つまり、60%以上のユーザーは購入の段階まで進んで決済方法の選択肢がなければ、そのままカゴ落ちしてしまう可能性が高いのです。
よほど欲しい商品か、取り扱っている店舗が少ない限定品でない限り、ほかの決済手段を選ぶユーザーは少ないということがわかります。
【対策】幅広い決済手段を揃える
決済手段はECサイトの使い勝手を決める大きな要素です。ユーザーが求める決済手段を幅広く用意することで、カゴ落ち率の改善が見込めるでしょう。とはいえ、決済手段は非常に多岐に渡ります。
- クレジットカード払い
- コンビニ払い
- 電子マネー
- 銀行振込 など
これらの決済手段を個別に用意するのは非常に大変です。そこで、一度に複数の決済を導入できる「決済代行サービス」がおすすめです。詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事:ECサイトの決済方法でおすすめのサービス5選!選ぶポイントも紹介
【原因】疑問や不安が残っている
ユーザーが初めてのECショップを利用するとき、気にするのは「このお店は大丈夫?」です。
- 梱包は問題ないのか
- 商品をしっかり届けてくれるのか
- 返品は受け付けてくれるのか
- クレジットカードを使っても大丈夫なサイトなのか
- 運営会社は実在しているのか(詐欺サイトではないか)
など、様々な疑問や不安を抱えています。ユーザーが上記のような疑問を抱えたままだと、商品をカートに入れたとしても決済段階で「やっぱり他のサイトにしよう」と離脱されてしまいます。
【対策】FAQやメール・電話サポートなどを充実させる
ユーザーの疑問や不安を解消するには、FAQページやメール・電話サポートの設置が有効です。FAQとは、よくある疑問・質問に回答してくれるページのこと。
また、サポート用のメールアドレスや電話番号を記載しておけば、困ったユーザーに誠実に対応できるでしょう。
ユーザーが困ったときの案内窓口を用意するだけでなく、サイトの信頼性をアピールすることも重要です。
- 返品ポリシーを明記する
- セキュリティポリシーを記載する
- 個人情報の取扱について明記する
- 送料をわかりやすい位置に記載する
- 対応クレジットカードの種類を見せる
など、ユーザーが疑問や不安に思うことは事前に解消できるようにしておきましょう。
【原因】決済フォームが使いにくい
決済フォームが使いにくいと、カゴ落ち率が上がります。新規のユーザーは、購入前に個人情報や支払い情報などを入力しますが、以下のようなサイトは印象がよくありません。
- 入力フォームが分かりづらい
- 画面デザインが複雑
- 入力補助がない
ユーザーはできるだけ早く決済を完了したいものです。そのため、項目が多くてわかりにくいサイトにはイライラして離脱してしまいます。
【対策】シンプルなUIとストレスのない表示スピードを心がける
ユーザーがストレスなく入力できるように、シンプルなUIを心がけましょう。具体的には、以下のことが考えられます。
- ラベルとテキストボックスが常に1対1になるように配置する
- 日付ボックスはカレンダーから選択できようにする
- 注意事項などの文言は必要最低限にする
- パソコンだけでなくスマートフォンで表示崩れがないか確認する
また、サーバーの処理が遅い、ページが重くてなかなか表示されないケースもあります。サイトの表示速度が遅いとユーザー体験を損なうため、問題があれば改善することをおすすめします。
【原因】アカウント登録しないと購入できない
ユーザーによっては「サイトに個人情報を残すのがイヤ」という人もいます。
- アカウント登録をせずに1回きりで利用したい
- プロモーションメールが届くのが困る
- これ以上登録サイトを増やしたくない
- サイトを信用できない
などの理由が考えられます。こうしたユーザーは、購買意欲はあるものの、決済まで行かずに「やっぱり買うのをやめよう」となりカゴ落ちしてしまうのです。
【対策】ゲスト会員でも購入できるようにする
アカウントを作るのを敬遠する人には、ゲスト会員で購入できるようにするのがおすすめ。ゲスト会員とは、個人情報をデータベースに登録せず1回限定で利用するユーザーのこと。データがサイトに残らないので安心です。
ほかには、アカウント登録の心理的ハードルを取り除くために
- アカウント会員登録のメリット(会員特典やポイント付与など)を伝える
- 会員登録方法を簡単にする(SNS経由での会員登録など)
といった方法も有効です。
【原因】想像以上に高額になってしまった
ECサイトでの買い物は、購入総額によって送料や手数料が変化することもあります。ユーザーが欲しいと思った商品をカートに入れていき、決済画面を開いた際の送料と商品の合計額が想像よりも高い場合、ユーザーは購入を諦めてしまうのです。
とくに、購入点数が増えれば増えるほど、合計額を覚えておくのはむずかしくなるもの。さらに送料が加算されてしまえば、予定していた出費を上回ってしまって離脱してしまいます。
【対策】決済画面でなくても総額が確認できるようにする
カートに追加する時点で現状の支払総額がわかるようにすると、ユーザーは安心できます。具体的には、カートボタンの近くやサイドメニューなどに支払総額を表示しておく方法があります。こうすることで、ユーザーは自分の支払総額を常に意識しながら買い物を続けられるでしょう。
【原因】クレジットカード情報を入力したくない
ECサイトを初めて利用する場合や、少しセキュリティに不安があると感じる場合、クレジットカード情報を入力したくないユーザーは一定数います。
「できればクレジットカード払い以外で決済したい」と考えるユーザーは、ほかの決済手段がなければ離脱してしまうでしょう。
上述の「【原因】疑問や不安が残っている」に近い状況ですが、こちらの原因は「不安はあるけどクレジットカード以外でなら支払いたい」と考えている点で少し異なります。
【対策】ユーザーの不安を取り除く文言を記載する
クレジットカード利用をためらうユーザーは、ECサイトのセキュリティに不安を抱えているケースが少なくありません。
こういうケースでは「SSLサーバー証明書の導入」や「3Dセキュア2.0(クレジットカード本人認証サービス)」の存在をアピールするのが有効です。ユーザーの不安を取り除ければクレジットカード払いでも購入してくれる可能性があります。
また「不安はあるけどクレジットカード以外でなら支払いたい」と考えるユーザーへの対策も必要です。コンビニ支払いや銀行振込などの後払い、個人情報を新たに入力しなくていいAmazon Payなどの決済手段を用意すれば機会損失を防げるでしょう。
【原因】決済途中でエラーになってしまった
決済画面の途中でエラーになってしまうと、ユーザーは大きな不安を覚えます。
- 決済は成功したのか、失敗したのか
- やりなおしたら2回購入されてしまうのではないか
- 仮に2回購入されてしまっていたら、返品手続きをするのが面倒だ
などと考えて、再度購入せずにそのまま離脱してしまうのです。よほど欲しい商品であれば、再チャレンジしてくれるユーザーもいるでしょう。しかし、他のサイトでも購入できる商品であれば、再び戻ってくることは期待できません。
【対策】安定したECサイトを構築する
決済途中でサイトがエラーで落ちることがないよう、安定したECサイトを構築するのが最短ルートです。なぜエラーが発生しているのかを調査し、ただちに修正しましょう。
仮に、エラーの原因がサーバーの過負荷であれば、サーバーの増強も検討する必要があります。サイトの安定稼働はユーザーの信用に直結する要素です。可能な限りエラーが出ないECサイトの構築を心がけてください。
カゴ落ち対策ツール3選
最後に、カゴ落ちの原因を解消するおすすめツールを3つご紹介します。
カートリカバリー(株式会社イー・エージェンシー)
(画像引用元:カートリカバリー)
カートリカバリーは、カゴ落ち対策に特化したMAツールです。中小企業から大手企業まで導入実績は500サイト以上。導入が簡単なだけでなく、月額42,900円(税込み)とお手頃価格が魅力のツールです。
カートリカバリーを使えば、カゴ落ちしたユーザーに対して最短15分後でカゴ落ちメールを配信。離脱したユーザーを呼び戻してくれます。
また、ダイナミックリマーケティング機能を使えば、カゴ落ちしたユーザーに買い忘れた商品の広告をダイレクトに配信してニーズを再喚起可能です。
フォームアシスト(株式会社ショーケース)
(画像引用元:フォームアシスト)
フォームアシストは、名前のとおりフォーム入力支援機能をECサイトに導入できるサービスです。10年以上に渡る導入件数は5,000件を超えます。
40以上の自動入力アシスト機能を備え、ユーザーの入力を快適にサポート。離脱率の改善が期待できます。さらに、上級ウェブ解析士がサイトを分析し、改善点を提案してくれるのも頼もしいポイントでしょう。
Repro(Repro株式会社)
(画像引用元:Repro)
Reproは世界66カ国、7,300以上のビジネスで導入されているマーケティングソリューションサービスです。Web、アプリ、Web+アプリの3パターンに対応可能で、ツールでの効率化だけでなく、マーケティング支援チームによるコンサルティングも受けられるのが特徴。
Reproが提供している「コンバージョン最大化サービス」を利用すれば、カゴ落ちの原因調査から改善施策まで提案してくれるでしょう。また、カゴ落ちだけでなくECサイトの全体の問題点も分析して売上を伸ばす提案をしてくれるため、包括的な支援を受けたい事業主におすすめです。
カゴ落ちの原因と対策を紹介しました
カゴ落ちは、ユーザーの事情やサイトの使い勝手など様々な要因で起こります。しかし、カゴ落ちの原因を調査し、丁寧に対応していけばカゴ落ち率の改善と、売上向上が期待できるでしょう。カゴ落ちでお悩みであれば、本記事を参考に対策してみてはいかがでしょうか。
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