越境ECの決済サービスはどう選ぶ?世界で主流の決済方法・選び方を解説!
越境ECにチャレンジしたいと考えている。しかし、現地ユーザーに購入してもらうには、どんな決済サービスを導入すべきなのか?悩んでいるEC担当者は多いはず。
そんな方に向け、越境ECでよく使われる決済方法や選び方のポイントを解説していきます。
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魅力的な越境EC市場
越境ECとは、文字通り「国境を越えた」「電子商取引(EC)」のこと。
そもそも、EC事業の魅力は「拠点のある場所に限らず、インターネットに接続可能なすべての国 / 地域を商圏にできる」ことです。想定していなかった国 / 地域の需要を掘り起こせれば、ビジネスを大きく成長させることが可能。これを実現するのが越境ECだといえるでしょう。
日本だけでなく、全世界的にECの市場規模が拡大していることも、越境ECへのチャレンジを魅力的にしている要因です。たとえば、2021年に中国ユーザーが越境EC経由で購入した日本商品の総額は、前年比9.7%増の2兆1,382億円。アメリカユーザーは前年比25.7%増の1兆2,224億円です。EC市場の成長を考えれば、この数値はまだまだ伸びると期待できます。
画像出典:経済産業省「令和3年度 電子商取引に関する市場調査」
もちろん、商圏を拡大できる魅力があるとはいえ、越境ECは日本国内と同じように運営していけるわけではありません。「言語」「物流」「決済」という、クリアしなければならない3つの課題があります。本記事では、このうち「決済」に特化した解説を進めていきます。
中国越境ECのはじめ方については以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:中国越境ECへ参入する方法|中国越境ECの市場規模・特徴・注意点も解説!
越境ECの決済方法が重要なのはなぜか
クリアしなければならない越境ECの課題に「決済」が挙げられる理由は、「国 / 地域によって主流となる決済方法が異なる」からです。たとえば、中国ユーザーが越境ECで利用する決済方法のうち、クレジットカードは42%に過ぎません。デファクトスタンダードだとはいえ、決済方法がクレジットカードのみなら「訪問者の58%は購入できない」計算です。
一方、対象国 / エリアで主流の決済方法を網羅しておけば、ユーザーはニーズに応じて好きな決済方法を選べます。これは「買いやすさ」「利便性」というユーザーエクスペリエンスを提供するのとイコールです。つまり、越境ECに適切な決済方法を用意することは「ECビジネスを成長させる」ためにも重要な要素なのです。
越境ECで利用される主な決済方法
それでは、越境ECではどのような決済サービスが利用されているのでしょうか。「決済方法」という枠組みでいえば、越境ECも国内ECもそれほど大きく変わりません。ただし、方法ごとに多種多様な「決済サービス」が存在するため、導入にあたって混乱しがちなのも事実。まずは、越境ECでも利用される主な決済方法をおさらいしておきましょう。
クレジットカード
クレジットカードは、EC黎明期から主流として使われてきた代表的な決済方法です。年齢制限 / 審査が必要なため、セラー側としては安心できる一方、購買層を制限してしまう一面もあります。低年齢層向け商品を扱う越境ECの場合、クレジットカードだけでは不充分だといえるでしょう。
近年では、不正利用の防止チェックを要因とした「取引拒否」も増加しており、アメリカを中心にクレジットカードの利用は減少傾向にあります。
現在でも主流の決済方法ではありますが、中国のように「そもそもクレジットカードの利用率が低い」国 / 地域があることも知っておきたいポイントです。
デビットカード
デビットカードは、決済と同時に銀行口座から代金が引き落とされる決済方法です。アメリカではキャッシュカードと兼用した形で発行されるため、デビットカードは非常にメジャーな決済方法。日本での利用率は高くありませんが、中国銀聯カードが普及している中国でもデビットカードはメジャーな存在です。
サードパーティ決済(第三者決済)
サードパーティ決済(第三者決済)とは、文字通り「決済サービスを提供するサードパーティ」を仲介させた決済方法のこと。代表的なサービスとしては、3億人以上のユーザーが利用する「PayPal」、法人利用で存在感を増している「Stripe」など。中国で圧倒的な支持を得ている「Alipay(支付宝)」もサードパーティ決済サービスです。
日本ではまだまだ浸透しているとはいえませんが、クレジットカード番号を入力したくない層を中心に、サードパーティ決済の利用は世界中で拡大しています。世界各国のECサイトでもメジャーな決済方法となっているため、越境ECにチャレンジするならぜひとも導入しておきたいところです。
インターネットバンキング
インターネットバンキングは、指定された銀行口座にオンライン経由で代金を振り込む決済方法です。インターネットバンキングが主流となるマレーシアのほか、日本でも比較的メジャーな決済方法ですが、そのほかの国で利用されることはあまりありません。
電子マネー
電子マネーとは、文字通り電子化された現金で代金を支払う決済方法のこと。店舗での支払いに「Suica」を利用するなど、日本では比較的ポピュラーな決済方法ですが、ECサイトの決済に利用されることはあまりありません。
代金引換
代金引換は、商品到着時に代金を配送会社に支払う決済方法です。日本では馴染みのある決済方法ですが、越境ECの決済方法として利用されることはあまりありません。
ただし、台湾は例外です。ECサイト決済の約18%が代金引換を利用しているといわれているため、台湾を対象にした越境ECなら代金引換は必須。コンビニ払いを決済方法に選ぶユーザーが多いことも台湾の特徴です。
中国越境ECで主流の決済サービス
ECサイトで利用される主な決済方法を把握できたところで、越境ECのメインターゲットとなる「中国」「アメリカ」の決済事情を紹介していきましょう。まずは、世界最大のEC市場規模を誇る中国です。
中国越境ECで主流の決済サービスは「Alipay」「クレジットカード」「中国銀聯カード」です。Alipayと似たサードパーティ決済 / キャッシュレス決済サービスには「WeChatPay」もありますが、EC決済の場合はAlipayが主流。
画像出典:経済産業省「令和3年度 電子商取引に関する市場調査」
上位3位までを占める「Alipay」「クレジットカード」「中国銀聯」を導入しておけば、中国越境ECを利用するユーザーのおよそ9割以上をカバーできるでしょう。
アメリカ越境ECで主流の決済サービス
世界2位のEC市場規模を誇る、アメリカの決済事情はどうでしょう。
中国とは異なり、アメリカで主流の決済サービスは「クレジットカード」「デビットカード」「PayPal」です。
画像出典:経済産業省「平成29年度 電子商取引に関する市場調査」
ただし、パンデミック発生の2020年頃から、Apple Pay / Google Payなどのモバイル決済利用が広がったことを機に、ECサイトでの決済方法にも変化が生じています。それが決済方法の多様化であり、新たな後払い決済サービス「BNPL」への注目です。
BNPL(Buy Now Pay Later)とは
BNPL(Buy Now Pay Later)とは、文字通り「今買って後で払う」、つまり後払い決済サービスのことです。日本で普及している後払い決済には、コンビニ払い、銀行振り込み、後払い決済Paidyなどがありますが、いずれも一括払いであることが基本。しかしBNPLは、こうした従来の後払い決済とは異なる、以下のような特徴があります。
- 手数料無料で分割払い可能
- 少額の前金で購入可能
- 決済手数料は加盟店が支払う
クレジットカードでも分割払いは可能ですが、手数料がかかる上、分割手数料もユーザーの負担です。一方のBNPLは、アプリをダウンロードしてアカウントを作成するだけで利用でき、クレジットカードも必要としません。このため、クレジットカードを持てない若年層を中心に利用が広がり、アメリカ / ヨーロッパのECサイトが次々導入を進めています。
代表的なサービスは「Affirm(アメリカ)」「AfterPay(オーストラリア)」「Klarna(スウェーデン)」など。日本の越境EC事業者が導入するには、ややハードルの高い決済方法ですが、今後の動向をウォッチしておく必要があるでしょう。
越境ECの決済サービスはどう選ぶ?
ここまでで、ECで利用される主な決済方法、越境ECのメインターゲット国となる中国 / アメリカで主流の決済サービスを紹介してきました。それを踏まえた上で、越境ECの決済サービスを選ぶポイントを解説していきましょう。
越境ECターゲット国で主流の決済サービス
上述したように、越境ECで決済が重要なのは「国 / 地域によって主流の決済サービスが異なる」から。つまり、最優先すべきは「越境ECのターゲット国で主流の決済サービスを導入する」ことです。
決済サービスの選択肢が多ければいいというものでもありませんが、ほぼすべてのユーザーをカバーできる程度の選択肢は必要。本記事では中国 / アメリカの事情のみ紹介していますが、ニッチな市場を狙うなら念入りな調査も必要です。
取扱商品の特徴
越境ECでは、ほぼすべてのユーザーをカバーする複数の決済サービスを導入することがポイントですが、自社取扱商品の特徴を考慮することも重要です。
たとえば、本文内でも解説したように、若年層をターゲットする商品の場合、クレジットカードは適切な選択肢とはなりません。国によって異なりますが、13歳以上なら使えるデビットカード導入などを検討しましょう。
インターナショナルクレジットカードは必須
国 / 地域によって主流の決済方法が異なるのは事実ですが、越境ECであってもインターナショナルクレジットカードの導入は必須です。
利用率が低下する傾向にあるとはいえ、中国を除くほぼすべての国で主流となる決済方法は、やはりクレジットカードです。単価が高額なものを含め、ほぼすべての商品購入に対応できることもクレジットカードのメリット。VISA / Masterに加え、海外ユーザーの多いAMEXも導入しておきたいところです。
決済代行会社選びがポイント
越境ECで導入しておきたい決済サービス、およびサービスの選び方を解説してきましたが、実際に導入するとなれば「決済代行会社」と契約することが一般的。複数の決済方法 / サービスを導入できる決済代行会社なら、各決済サービス会社と個別契約を結ぶ手間が省けるからです。
たとえば、越境ECに最適なECプラットフォーム「Shopify」の場合、Shopifyペイメントという決済サービスを初期費用 / 月額費用なしで導入可能。「Alipay」決済に対応したSBペイメントを追加導入することも可能です。
ECプラットフォームに応じて導入できる決済代行会社も異なるため、越境ECサイトを構築する際のプラットフォーム / 決済代行会社選びも重要なポイントです。
越境ECにおすすめのShopifyについては以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:Shopifyで越境ECをはじめるには?おすすめの理由・事例・成功のポイントを解説!
越境ECで主流の決済サービス・選び方を紹介しました
越境ECにチャレンジしたいと考えている。しかし、現地ユーザーに購入してもらうには、どんな決済サービスを導入すべきなのか?悩んでいるEC担当者の方に向け、越境ECでよく使われる決済方法や選び方のポイントを解説してきました。
普段意識することはありませんが、ECサイトで商品購入を決定づける、ラストワンマイルとなるのが「決済」です。それは越境ECであっても同じこと。
カートに商品を入れたのに、希望する決済方法がなかった、ということにならないよう、ターゲット国に応じた適切な決済方法を導入してください。
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