化粧品EC成功のポイント10選!大手の動向や新規参入の成功事例も紹介

化粧品EC成功のポイント10選!大手の動向や新規参入の成功事例も紹介

化粧品業界のECに参入したいが、競合が多くハードルの高さを感じている方もいるかと思います。

本記事では、化粧品ECの参入に悩む事業者さまのために、化粧品ECを成功させるポイントをご紹介。化粧品EC業界が抱える課題や大手企業の動向、成功事例まで幅広く開設します。

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目次
  1. 1. 化粧品ECの市場規模・EC化率は高くない
  2. 2. 化粧品ECが抱える課題
    1. 2-1. 1. ネットよりオフラインの需要が大きい
    2. 2-2. 2. ブランド力のある大企業が強くレッドオーシャン
    3. 2-3. 3. 販売経路が多いためECが伸びにくい
    4. 2-4. 4. 他の業界よりもデジタルマーケティングが難しい
    5. 2-5. 5. 化粧品業界に対する消費者の不信感がある
  3. 3. 化粧品ECを成功に導くためのポイント
    1. 3-1. 1. インフルエンサーとコラボする
    2. 3-2. 2. 定期購入で売上を安定化させる
    3. 3-3. 3. UGCを強化して信頼性を担保する
    4. 3-4. 4. ユーザーレビュー機能を実装する
    5. 3-5. 5. ライブコマースを活用する
    6. 3-6. 6. SNSや自社メディアで コンテンツを発信する
    7. 3-7. 7. CRMツールを利用した施策を講じる
    8. 3-8. 8. オンライン接客ツールを導入する
    9. 3-9. 9. デジタルカウンセリングサービスを利用する
    10. 3-10. 10. 海外にも販路を拡大する
  4. 4. 化粧品ECの大手の動向
  5. 5. 化粧品ECの成功事例
    1. 5-1. 1. PHOEBE BEAUTY UP
    2. 5-2. 2. Glossier
    3. 5-3. 3. meeth
    4. 5-4. 4. BULK HOMME
  6. 6. 【まとめ】化粧品ECの参入障壁は高いが勝機はある

化粧品ECの市場規模・EC化率は高くない

経済産業省が公開した令和3年のデータによると、化粧品・医薬品ECの市場規模は8,552億円で、EC化率は7.52%という結果に。

書籍や音楽ソフト(46.2%)、生活家電(38.13%)、生活雑貨(28.25%)など他のジャンルと比べてもEC化率が低いです。なぜ化粧品ECの伸び率が低いのか、次章で詳しく解説します。

参考:令和3年度 電子商取引に関する市場調査 報告書 | 経済産業省

化粧品ECが抱える課題

化粧品ECが抱える課題

1. ネットよりオフラインの需要が大きい

化粧品は、インターネットよりも、店頭でのオフライン販売の需要が大きい傾向があります。ECの強みは、ネットでいつでも・どこでも購入できることですが、化粧品はドラッグストアで購入できる上に品揃えも多いため、わざわざネットで購入する人が少ないのです。

また、店頭では実際に手に取って化粧品を選べるため、ECよりもメリットがあるといえます。

2. ブランド力のある大企業が強くレッドオーシャン

化粧品業界は、ブランド力の強い大手が市場シェアの多くを占めているため、新規参入が難しいのが現状です。

経済産業省が公開している2019年の情報によると、売上高による化粧品業界のシェアは上位4社で約40%、上位10社で約50%を占めている結果に。残った50〜60%を他の他の企業で奪い合っている状況です。

大手が市場を占有していることに加えて、新規参入する競合も多いため、化粧品ECで売上を伸ばし続けるのは難しいといえます。

参考:化粧品産業ビジョン | 経済産業省

3. 販売経路が多いためECが伸びにくい

化粧品業界のEC化が遅れている理由に、販売経路が多いことがあげられます。ドラッグストア以外にも百貨店やカタログ通販など、化粧品を購入できる場所は多いです。

またドラッグストアでは、低価格帯の「プチプラコスメ」も多く販売しており、店頭価格も安いです。そもそも店頭価格が安く、直接見たり手に取ったりできるメリットがあるため、ユーザーがECから遠のいている現状があります。

4. 他の業界よりもデジタルマーケティングが難しい

化粧品・医薬品業界は、他の業界と比べてデジタルマーケティングの難易度が高いといわれています。理由は以下の2つです。

  • レッドオーシャン市場であること
  • Googleのアルゴリズムの変化

先述のように、化粧品業界は、ブランド力のある大手がEC市場を占有しているレッドオーシャン市場です。資本力のある大手がECに資金を投入しているために、新規参入のECサイトが勝ちにくいという現状があります。

Googleの検索アルゴリズム修正も大きな理由です。2018年にGoogleが「健康アップデート」というアルゴリズム修正を行いました。

結果、大手のECサイトをはじめAmazonや楽天市場といったECモールのサイトが、検索エンジンに上位表示されやすくなったのです。このような理由から、化粧品業ECへの新規参入がますます難しくなっています。

5. 化粧品業界に対する消費者の不信感がある

業界に対する消費者の不信感も、化粧品ECが伸びない大きな理由です。不信感の原因は、主に化粧品ECのサービス品質です。たとえば以下のような例があげられます。

  • ユーザーを「初回実質0円」という謳い文句で引きつけ、2回目以降を高額な定期購入で販売する
  • 解約受付が電話のみで、コールセンターに電話がなかなか繋がらない

消費者庁が公表するデータを見ると、「化粧品を含む相談件数」は年々増加。2021年では6万件近い相談が寄せられています。

参考:消費者白書 | 消費者庁

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化粧品ECを成功に導くためのポイント

  1. インフルエンサーとコラボする
  2. 定期購入で売上を安定化させる
  3. UGCを強化して信頼性を担保する
  4. ユーザーレビュー機能を実装する
  5. ライブコマースを活用する
  6. SNSや自社メディアでコンテンツを配信する
  7. CRMツールを利用した施策を講じる
  8. オンライン接客ツールを導入する
  9. デジタルカウンセリングサービスを利用する
  10. 海外にも販路を拡大する

1. インフルエンサーとコラボする

SNSやYouTubeなどでのインフルエンサーとのコラボも有効です。インフルエンサーに自社商品を使ってもらい、具体的な使い方や感想を投稿してもらいます。

有名人を起用することで、ユーザーも「あの人が使っているなら自分も買ってみようかな」と安心感を得られます。自社商品と親和性の高い「美容系インフルエンサー」とコラボすれば、相乗効果が期待できるでしょう。

2. 定期購入で売上を安定化させる

化粧品ECの売上を安定させるには、リピーターの存在が必要不可欠です。しかし、化粧品は消耗品なので、商品を1回1回購入するのに煩わしさを感じるユーザーもいます。そこで、有効なのがECサイトに「定期購入機能」を実装することです。

定期購入機能では、お届け日やスパンを変更できたり、決済方法を途中変更できたりといった機能が揃っています。定期購入機能によってリピーターが増えることで、自社の売上や利益向上をはじめ売上の安定化に繋がります。

3. UGCを強化して信頼性を担保する

UGCとは、ユーザーによって作られたコンテンツのこと。ECサイトにおいては「レビュー」や「口コミ」が該当します。SNS上で「この化粧品はよかった」というレビューや口コミが増えれば、自社商品の信頼度も高まります。企業発信の宣伝には不安感を覚えるユーザーがもいて、「他のユーザーの感想」だと安心する人が多いです。

たとえば、ハッシュタグ(#)を活用してユーザーに感想の投稿を促すなど、UGCが増える工夫をしましょう。

4. ユーザーレビュー機能を実装する

ユーザーレビュー機能とは、ECサイト内にレビューや感想を投稿できる機能のこと。実際に商品を購入した人の感想を閲覧できるため、ユーザーに安心感を与えられます。ユーザーレビュー機能は、見やすくて使いやすいものが好まれるので、ユーザー目線でカスタマイズしましょう。

5. ライブコマースを活用する

ライブコマースとは、ライブ配信をしながらEC運営側がユーザーとコミュニケーションを行う手法です。

運営側は、YouTubeや動画機能のあるSNSを使って、リアルタイムで商品をアピール。ユーザーは楽しみながら商品について知れたり、チャットで質問できたりします。

リアルタイムでの配信なので、ユーザーは商品の使用をイメージでき、気に入れば即購入することも可能です。

6. SNSや自社メディアで コンテンツを発信する

SNSや自社メディアといったコンテンツ配信は、自社サイトの潜在層を獲得したり、ブランド力を高めるために効果的な方法です。

ユーザーニーズに応えたコンテンツを配信することはもちろん、商品に込められた思いやストーリーを紹介すると、よりコアなファンを獲得しやすくなります。

前述した「ライブコマース」もコンテンツの1つです。動画媒体では、テキストや画像だけでは伝わらない商品の魅力を伝えられる上に、その場でユーザーとコミュニケーションを取れるため、より購入に結びつきやすくなります。

7. CRMツールを利用した施策を講じる

CRMツールとは「顧客関係管理」ができるツールのこと。CRMツールでは、氏名やメールアドレス、継続率、購入単価などの顧客情報を一元管理でき、リピーター獲得に役立ちます。CRMツールを活用した施策として、以下のものがあげられます。

  • 顧客の購入回数や誕生日に応じてクーポンを配布する
  • 顧客の属性に合わせたメルマガを配信する

CRMツールがあれば、1人1人に合わせた施策を打つことができます

8. オンライン接客ツールを導入する

オンライン接客ツールとは、ビデオ通話やチャットで接客ができるツールのこと。オンライン接客ツールでは、直接対面はできませんが、ユーザーと直接コミュニケーションが可能です。ツールの導入によって、ユーザーは店頭販売に近い感覚で商品を選ぶことができます。結果、購買促進にも繋がるでしょう。

9. デジタルカウンセリングサービスを利用する

デジタルカウンセリングサービスとは、AIが顔写真などからユーザーにおすすめの化粧品を提案する方法です。

実際、商品を使ったメイクをシュミレーションできるツールを導入する事業者もおり、化粧品ECの売上を伸ばすために必須の機能といえるでしょう。

また、メイクアップのデータは保存できるため、2回目、3回目のカウンセリングにも役立ちます。デジタルカウンセリングサービスは、顧客満足度アップに繋がる重要な施策といえるでしょう。

たとえば、自分で撮影した顔写真をARフィルターにかけて投稿できる「Snapchat(スナップチャット)」を利用して、その人に合ったメイクを提案する企業もあります。

デジタルカウンセリングサービスの例「COFFmi(コフミ)」

COFFmi

画像引用:COFFmi

デジタルカウンセリングサービスの例として、カネボウ化粧品が提供する「COFFmi」があります。同サービスには、顔写真をもとに「AI顔分析」や「AI肌診断」の機能を搭載。本人に合ったメイクを提案。1人1人の顔や肌の状態を高い精度で分析し、最適な商品を提案します。

10. 海外にも販路を拡大する

日本国内の化粧品市場はレッドオーシャンですが、海外に目を向ければ、売上アップの可能性は高まります。いわゆる「越境EC」と呼ばれる手法です。

自社のECサイトを海外対応させたり、現地のECモールを利用したりと、越境ECの方法はさまざま。現地の言語や生活文化の理解が必要ですが、サイトを海外対応させることで、売上を伸ばせる可能性があります。

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化粧品ECの大手の動向

ブランド力のある大手が化粧品市場を占有しているとお伝えしましたが、各大手企業はどのような戦略を行っているのでしょうか。大手5社の動向を見てみましょう。

企業名

動向

資生堂

テレビや新聞などのマス広告と、SNSやオウンドメディアなどの

デジタル広告を融合させた戦略を実施

花王

楽天市場やAmazonなどECモールを利用した戦略。

モール内で1位を獲得するなど高い評価を獲得

DHC

自社オウンドメディアを運営。

コンテンツ制作に資金投下することで

ブランド力を向上、ファン獲得に繋げている

ファンケル

オムニチャネル戦略を実施。

実店舗とECをシームレスに運用することで顧客満足度を高めている

オルビス

ECサイト内で「店舗スタッフのおすすめ商品」など信憑性の高い

コンテンツを配信。

ユーザーから高い信頼を得ている

いずれの企業も、自社の資金力を活かした戦略を実施。特にマス広告やオウンドメディア運営、オムニチャネルなどは大きなコストがかかります。新規参入の化粧品ECが大手と同じ戦略で勝負するのは難しいでしょう。大手に売り負けないためにも、自社ならではの戦略を打ち出し、着実にファンを獲得することが大切です。

化粧品ECの成功事例

化粧品ECのイメージを掴んでいただくために、成功事例をご紹介します。

ECサイト名

成功のポイント

PHOEBE BEAUTY UP

ASPカート導入によってECサイトの構築工数削減、

PDCAの最適化に繋がった

Glossier

ブログを介した読者とのコミュニケーションによって

商品への安心感や共感を与えた

meeth

ライブ配信やInstagramのハッシュタグ活用、

レビュー促進などUGCを積極的に行った

BULK HOMME

Instagramなどの写真付きレビューを一括収集し、

広告クリエイティブに役立てた

1. PHOEBE BEAUTY UP

PHOEBE BEAUTY UP

画像引用:PHOEBE BEAUTY UP

PHOEBE BEAUTY UPは、DINETTE株式会社が運営するD2C(メーカーから消費者に直接販売する仕組み)の化粧品ECです。成功ポイントとして以下があげられます。

  • ASPカートを導入し、CVRや売上が急成長
  • 友だち紹介やクレジットカード変更でクーポンを配布

同サイトでは、クラウドで簡単にECの機能を実装できる「ASPカート」を導入。ECサイトの構築工数が削減されたことで、PDCAが格段に回しやすくなったそうです。

ECサイトの売上を伸ばすための施策として、LINEの友だち紹介やクレジットカートを変更した人に対してクーポンを配布。その結果、CVRが2.4%、売上が1005%アップしたといいます。

2. Glossier

Glossier

画像引用:Glossier

Glossierは、ニューヨーク発のスキンケア・化粧品ブランドです。D2Cに特化したECサイトを運営しており、今では日本のみならず世界各国で人気を集めています(2021年6月時点)。成功ポイントは以下の通りです。

  • 成長のきっかけとなったのはブログ配信
  • ユーザーと双方向のコミュニケーションを行った

2014年に始まった同サイトですが、当時は今ほどの人気がありませんでした(2021年6月時点)。成長のきっかけとなったのは「Into The Gloss」というブログ配信。有名人にメイク方法をインタビューしたり美の秘訣を聞いたりと、ユーザーに楽しんでもらいながら役に立つ情報を配信し続けました。

また、創業者自らがユーザーのコメントにも返答。双方向のコミュニケーションを取ることでユーザーに安心や共感を与え、今ではInstagramのフォロワーが275万人(2020年時点)を超えています。

3. meeth

meeth

画像引用:meeth

meethは、モデル・美肌研究科のソンミ氏が運営する化粧品ECです。今では日本国内にとどまらず中国や韓国、シンガポールなどアジア各国で人気を集めています(2021年3月時点)。同サイトの成功ポイントは以下の通りです。

  • 広告宣伝費を最小限に抑えたEC戦略
  • UCGを積極的に利用し、信頼性を高めた

同サイトでは、商品のクオリティにこだわるために、広告宣伝費を最小限に抑える戦略を実施。ライブ配信やSNSでのコミュニケーションを通してユーザーから意見を貰いながら、商品をアップデートし続けたそうです。

また、Instagramの#(ハッシュタグ)による投稿を促したり、自社サイトにユーザーレビューを掲載したりと、UGCも積極的に実施。広告宣伝費をほとんどかけずに、立ち上げから3年で急成長を遂げています。

4. BULK HOMME

BULK HOMME

画像引用:BULK HOMME

BULK HOMMEは、メンズコスメに特化した化粧品ECです。2013年に誕生した同サイトですが、今では雑誌やSNSで大きな支持を集めています(2019年7月時点)。同サイトの成功ポイントは以下の通りです。

  • Instagramの投稿写真を一括収集し、広告クリエイティブに活用した
  • レビューをランディングページに掲載し、ECサイトの信頼性を高めた

同サイトは、SNSで多くのUGCが発生していたものの、自社でうまく活用できていなかったそう。特に多かったInstagramのレビューを活用するべく、投稿されていた約3,000枚の写真を専用ツールで一括収集。なかでも魅力的な写真を広告クリエイティブに採用しました。

また、広告効果の高かったレビューをランディングページに掲載。リアルな感想を積極的に公開したことで、ユーザーの購買意欲アップに繋がったといいます。

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【まとめ】化粧品ECの参入障壁は高いが勝機はある

他のジャンルと比べて化粧品業界の市場規模・EC化率は小さいため、新規の参入障壁は高いです。大手はマス広告や大型メディアの運営などコストのかかる戦略を練っており、同じ土俵で戦うのは難しいといえます。

ただ、リピート促進のためのクーポン配布やUGCの強化、ライブコマースの配信など、中小規模のECサイトでも実施できる戦略を打てば十分に勝機はあります。自社に合ったEC戦略を打って、サイトの売上アップ・安定化を図りましょう。

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