DtoCとは?導入の手順・注目される理由・成功事例を紹介!
DtoCに取り組みたいが、どう取り組むべきか分からずお困りではないでしょうか。本記事ではDtoCとは何か、メリットとデメリット、導入手順、注目される理由、成功事例まで解説します。
この記事を読めば、DtoCを導入するまでに必要な手順がわかりますので、ぜひ最後までご覧ください。
DtoCとは
DtoCとは、「Direct to Customer」の頭文字を取ったもので、仲介業者を通さない販売方法です。具体的には、スーパーなどで購入するのではなく、自社ECサイトから購入することが当てはまります。
BtoCとの違い
DtoCと比較されやすい販売方法に、BtoCがあります。BtoCとは「Business to Customer」の頭文字で、企業と消費者との取引です。
DtoCはスーパーなどの小売業が該当します。BtoCの場合は、自社で製造したものを取り扱うわけではないことに大きな違いがあります。
SPAとの違い
DtoCと似ている言葉にSPAがあります。SPAとは「Speciality store retailer of Private label Apparel」の頭文字で、製造から販売までを自社で行うことを意味します。
SPAの場合は、実際の店舗で消費者に販売しますが、DtoCの場合はオンラインECショップを利用するため、店舗での販売を行いません。
DtoCのメリット
DtoCのメリットは以下の通りです。
それぞれについて、次で解説します。
経費を抑えられる
DtoCでは、通常のビジネスでかかる中間マージンや手数料をカットできます。
例えば、Amazonのようなサイトで購入する場合、利用時には月間の手数料と顧客に販売する費用の10%前後のマージンがかかります。しかし、DtoCの場合はそのような費用はかかりません。
費用がかからないことで、販売価格を抑えて販売する、利益を増やすなどが可能です。
自由度が高い
自社ECサイトを運用していない場合、集客施策は運営元の利用規約に影響され、思うようなマーケティングができません。
例えばAmazonのようなECモールの利用規約に違反する場合を考えてみましょう。違反する場合は、アカウントの利用停止で販売できなくなる、損害賠償を請求されるなどの恐れがあります。
しかし、自社でECサイトを運用する場合は、そのような制約がありません。そのため、SNSやディスプレイ広告、メルマガなどの施策を自由に実施できます。
価格競争に巻き込まれにくい
ECサイト内で販売する場合、同じ商品カテゴリの商品と価格競争に巻き込まれやすくなります。他の企業も販売可能なECモールでは価格帯による絞り込みが可能です。他のものよりも高い場合、ユーザーの選択肢に入らず、購入に至らないリスクがあります。
そのため、ECサイトであれば、自社内の商品のみ取り上げられるため、価格競争には巻き込まれません。
顧客との関係性強化
自社ECサイト以外の手段の場合、小売店やECモールの販売では、販売や発送など一部の業務を委託することになります。
DtoCであれば、商品の発送時にパンフレットを送付するなど、アフターサービスに至るまで、自社で対応し、顧客との接点が多い点がメリットです。SNSやメルマガなど、顧客との接点を自由に設計できます。
ブランドの理念を伝えやすい
DtoCは自社のECサイトで情報発信できるため、ブランド理念を伝えやすいことが特徴です。自社のECサイトの場合はデザインから自社でできるため、細かいブランドビジョンを伝えられます。
特にアパレルや化粧品など見た目の印象が重要なものは、ブランドビジョンをいかに伝えるかが重要です。
顧客情報の収集と蓄積がしやすい
自社ECサイトの場合、SNSの活用や口コミや問い合わせなどから、顧客情報を収集可能です。反対に、ECモールの場合は、顧客と直接やりとりする機会が失われ、得られる情報には限りがあります。
直接的な情報のやりとりができることで、マーケティング施策の改善や、商品改良などに役立つでしょう。
DtoCのデメリット
DtoCのデメリットは以下の通りです。
- 初期費用が高額になりがち
- 集客の負担が大きい
- 成功に時間がかかる
それぞれについて、次で解説します。
初期費用が高額になりがち
DtoCの場合、自社のECサイトを作る費用が高額になります。ECサイト構築をするためには、ECサイトの規模にもよりますが、10万円〜数100万円の費用が必要です。
ECモールの場合は、ある程度形ができており、すぐに利用を始められます。
集客の負担が大きい
自社のECサイトは作成時点では顧客に認識されていないため、SNSや広告を使った集客が欠かせません。
ECモールの場合は、利用者が多いため、登録しておくと、検索で表示される可能性が自社のECサイトよりは高まります。
自社ECサイトの集客をある程度スムーズにするためには、一定以上のブランド認知が必要です。ブランド認知がされていれば、自社ECサイトへの誘導もしやすくなります。
成功に時間がかかる
自社ECサイトは認知されていないところからはじまるため、一定以上の売り上げを上げるまでに時間がかかります。
売り上げを上げるためには、自社ECサイトの認知からリピーターになってもらう必要があり、そこまでの関係性構築には、ある程度の時間がかかるためです。
DtoCが注目される理由
DtoCが注目される理由は以下の通り。
それぞれについて、次で解説します。
SNSの影響力の増加
SNSの影響力が高まり、自社で直接マーケティングしやすくなったことが、DtoCの注目に影響しています。SNSが認知される前までは、広告方法がテレビCMのように広告費がかかる手法しかなく、自社ECサイトの運用は困難でした。
しかし、SNSの認知度が高まったことで、コストをかけずに顧客へのアプローチが可能です。
クラウドサービスの登場
BASEやSTORESなどのクラウドサービスにより、安価にネットショップを開設する手段が増えたこともDtoCが注目される要因です。自社のECサイトを作る方法は、0から作成する方法が中心。その場合、数100万円程度の費用がかかるため、導入が困難でした。
しかし、BASEのようなネットショップを利用する場合であれば、月額0円から立ち上げができ、敷居が大幅に下がっています。
消費者ニーズの変化
商品が豊富になっており、機能やコストパフォーマンス以外に、独自のコンセプトやストーリーなどが求められるようになりました。
コンセプトやストーリーは、スーパーやECモールを利用した場合、伝えられる情報に限りがあります。しかし、DtoCであれば、直接的に顧客とやりとりでき、これらの情報をより効果的に伝えることが可能です。
サブスクリプションの台頭
近年では商品に料金を支払うのではなく、月や年単位で定額料金を支払うサブスクリプションが増えてきました。
Web上のサービスだけではなく、食材などの定期宅配サービスもあり、食品のような消耗品のサブスクリプションを取り扱う場合にも、ECサイトは役立ちます。
大手ECモールによる小売業の衰退
大手ECモールの影響力は年々高まり、小売店や量販店のようなビジネスは徐々に衰退し、小売店任せの販売方法に依存することが難しくなってきました。
DtoCは小売店や量販店に頼らない方法として、導入されはじめています。
DtoCを成功させるポイント
DtoCを成功させるポイントとしては以下が挙げられます。
- 相性のよい商品を選ぶ
- コンテンツマーケティングに取り組む
- コンセプトやストーリーを大切にする
- SNSで顧客と交流する
- 幅広い支払い方法に対応する
- スピーディな対応を心がける
- 自社の商品力を高める
- 「定期販売」や「サブスクリプション」を導入する
- ユーザーと向き合う
それぞれの特徴について次で解説します。
相性のよい商品を選ぶ
DtoCと相性がよい商品として以下のものが挙げられます。
- 物販
- 飲食店
- 旅行
- 本・映像・音楽
これらの商品を取り扱う場合にDtoCは特におすすめできます。
コンテンツマーケティングに取り組む
コンテンツマーケティングとは、顧客に役立つ情報を提供し、ファンとなってもらい、最終的に商品やサービスを購入してもらうマーケティング手法です。
例えば、化粧品を扱う会社であれば、「よりきれいに見せる化粧方法」や「化粧道具の選び方」などを発信します。このような情報により、「このサイトは役立つ情報を発信している」と思ってもらった後で、自社の化粧品を購入してもらうことを目指します。
DtoCの場合、InstagramやYouTubeなどのSNSと相性がよく、コンテンツマーケティングを利用することで、効果的にECサイトに誘導可能です。
コンセプトやストーリーを大切にする
DtoCでは機能性や価格以上にコンセプトやストーリーで差別化しなければ、失敗しやすくなります。
商品の機能性や価格をPRすると、ECモールやスーパーと差別化できないためです。DtoCでは、商品やサービスの歴史やビジョンを伝え、商品を好きになってもらう必要があります。
SNSで顧客と交流する
SNSは顧客と直接やりとりでき、ファン化を進める、共有しやすい情報発信をするために重要です。InstagramやYouTubeのようなSNSではライブ配信ができ、顧客への直接発信や、コメントでの交流ができます。
SNSで双方向のアプローチができることで、顧客と信頼関係が構築され、DtoCの効果がより高まるでしょう。
幅広い支払い方法に対応する
顧客の支払い方法はクレジットカードや電子マネー、コンビニ決済など様々です。幅広い支払い方法に対応していないと、購入したくてもできない顧客を取り逃してしまうことがあります。
できるだけ多くの支払い方法に対応することで、顧客の取りこぼしを防ぐことが大切です。
スピーディな対応を心がける
商品発送がスピーディであることが大切です。インターネットでの購入は購入してから商品が届くまでにタイムラグがありますが、短くすることで、顧客満足度に影響します。
いつまでに届くかは正確に顧客に伝え、できるのであれば1〜2日までの到着を心がけましょう。近年では即日配達が可能なサービスもあります。
自社の商品力を高める
DtoCでは商品力がないと、失敗する可能性が高まります。具体的には以下のような要素が重要です。
- ユーザーからのニーズに応えられているか
- 商品利用者からのクチコミ評価が高いか
これらの要素が揃っていると、顧客が自発的に情報発信し、何もしなくてもプロモーションにつながることもあります。
反対に、商品力がないと、クチコミが広がらないか、悪いクチコミが広がることで、マイナスの影響をもたらすこともありえるでしょう。
「定期販売」や「サブスクリプション」を導入する
リピーターになってもらうために効果的なのが、サブスクリプションや定期販売です。
ECサイトでは、消費者が自発的に定期購入してくれることは少なく、定期販売やサブスクリプションを導入しないと、リピーターは期待できません。
近年では本や映像、音楽以外にも、食材の定期販売などの方法があります。また、サブスクリプション契約の手続きもスマホやパソコンですぐに契約可能です。そのため、今販売している商品をサブスクリプション化できないか検討してみましょう。
ユーザーと向き合う
DtoCではユーザーからの信頼関係や評判が重要な役割をはたします。そのため、顧客対応や商品力を高め、ユーザーからのクレームを減らし、顧客満足度を高い水準に維持できるように対応することが重要です。
DtoCの成功事例
DtoCは様々な企業で導入されています。ここでは、どのような企業で成功しているか、いくつか事例を紹介します。
土屋鞄製作所
画像引用:土屋鞄製作所
土屋鞄製作所は、1965年に創業し、「人とものと時間を大切にする 日本の「丁寧」を世界へ」をコンセプトに、大人向けの鞄制作を手がける企業です。
ECサイトでは、自社のストーリーを伝える「ジャーナル」や「私たちのこと」というコンテンツを用意し、鞄作りへのこだわりを積極的に発信しています。
BASE FOOD
画像引用:BASE FOOD
BASE FOODは「主食を イノベーションし、健康をあたりまえに」をビジョンに、栄養バランスのよい食事を提供する企業です。
ECサイトでは健康に関する情報を積極的に発信しています。定期販売として「パン8袋&クッキー10袋セット」を手がけている点も特徴です。
COHINA
画像引用:COHINA
COHINAは150cm前後の女性をターゲットに創業したアパレルブランドです。ECサイト上では商品の画像に加え、実際に商品を使っている女性のスナップショットも豊富に公開されています。
Instagramも積極的に運用し、2023年6月12日時点ではフォロワー数23万人と多くの人にフォローされているSNSを運用していることも特徴です。
BULK HOMME
画像引用:BULK HOMME
BULK HOMMEは「メンズスキンケアの、ベーシックであり続ける。」をコンセプトにスキンケア用品を取り扱う企業です。
「洗顔料+化粧水+乳液」の定期購入コースを用意し、初回70%オフで提供しています。また、定期コースの継続し、マイルを貯めることで、オリジナルアイテムと交換できる特典も。
化粧の仕方がわからない人に向けて、使い方や色選びの方法まで紹介しています。
煎茶堂東京
画像引用:煎茶堂東京
煎茶堂東京は2017年に銀座で創業、世界水準の日本茶ブランドを目指し、日本茶専門店を手がける企業です。
「TOKYO TEA JOURNAL」という月額500円で、毎月季節をテーマにしたお茶とレシピを掲載した冊子を郵送しています。お茶や道具についての情報発信も豊富です。
DtoCの特徴や成功事例についてまとめました
本記事ではDtoCの特徴、メリットとデメリット、取り組みのポイントや成功事例まで紹介しました。DtoCを導入することで、自社の魅力やビジョンを積極的に発信でき、顧客との関係性を強化できるマーケティング手法です。
しかし、DtoCを成功させるには、商品力が必要不可欠で、すぐに成果を出しにくいため、継続して取り組む必要があります。