オムニチャネルの事例6選|成功に導くポイントや注目理由も紹介
自社でオムニチャネルを導入したいが、どのように活用するのかイメージをつかめていない方もいるのではないでしょうか。オムニチャネルを導入するなら、他社事例を参考にすることが大切です。
本記事では、オムニチャネルの事例や成功ポイントなどを解説します。事例をもとに成功につながる施策の検討にお役立てください。
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オムニチャネルの事例6選
オムニチャネルとは、実店舗・ECサイト・アプリ・カタログ・メールマガジンなど、あらゆる企業と顧客の接点(チャネル)を統合し、顧客へアプローチを行う手法です。ここでは業種ごとにオムニチャネルの事例を紹介していきます。
アパレル:株式会社ファーストリテイリング
ユニクロで有名な株式会社ファーストリテイリングでは、オムニチャネル戦略の一部としてライブ配信サイト「LIVE STATION」と、無料マガジン「LifeWear magazine」を展開しています。
「LIVE STATION」では、定期的に新作商品やお買い得商品の紹介を配信しています。
画像引用:LIVE STATION
新着アイテムの試着会ライブでは、商品の説明からコーディネートの紹介、視聴者からの質問に対して回答などを実施。紹介された商品はすぐにオンラインショップで購入できるため、購買につながりやすいのが特徴です。
他にはECサイトのレビューで高評価ベスト10のアイテムを紹介したり、各店舗が独自に商品を紹介したりするライブ配信を行っています。
「LifeWear magazine」は全国のユニクロ店舗で無料配布しており、ユニクロの商品記事、ファッションストーリー、取材記事などが掲載されています。シティガイドといったユニクロの枠を超えたコンテンツも豊富で、洋服づくりに込めた想いを多くの人にアピールしています。
化粧品:株式会社資生堂
画像引用:watashi+
化粧品の開発・販売を行う株式会社資生堂では、オムニチャネル戦略の一部として、実店舗に加えて総合美容サイト「watashi+」や「SHISEIDO Global Flagship Store」を運営しています。
watashi+は美容情報や商品カタログなどの公開だけでなく、気になった商品をオンラインショップで購入したり、サイト上でお店を予約して来店したりすることも可能です。
またwatashi+には、スマホで簡単に肌分析ができる「肌パシャ」で結果と質問内容から最適な商品の紹介機能があるのも魅力です。さらに、オンラインでSHISEIDOビューティーコンサルタントによるカウンセリングを体験できます。
このようにwatashi+は商品紹介や購入だけではなく、購入前後の体験を意識した施策が充実しているのが特徴です。
他にも2020年には、同社初となるフラッグシップストアとして銀座に「SHISEIDO Global Flagship Store」をオープンしました。美×テクノロジーの最先端を体験できるSHISEIDO Global Flagship Storeは3フロアで構成されており、以下のように特徴的なサービスが提供されています。
- S CONNECT:店内で使用するリストバンドをかざすだけでほしい商品をカートに入れら
れ、そのままレジで会計でき、すぐに商品を受け取れる - FOUNDATION BAR:写真を撮るだけで、ファウンデーションの微妙な色選びを的確に測
定し、30色の中から利用者に適した色の商品を試せる - SKINCARE LESSON:SHISEIDOビューティーコンサルタントによるスキンケアレッスン
を受けられる - INNER BEAUTY CHARGE:新感覚のメディテーション(瞑想)体験。
手軽に自分好みの商品を探せたり、プロからスキンケアレッスンを受けられたりと、さまざま顧客体験を提供。通常店舗では得られない新たな価値を提供し、商品購入やファン獲得につなげています。
生活雑貨:株式会社良品計画
株式会社良品計画はオムニチャネル戦略の一部として、実店舗運営に加え、スマホアプリ「MUJI passport」と「IDEAPARK」を運営しています。
MUJI passportでは商品検索、在庫検索、店舗検索などを利用できます。さらにポイントが貯まるプログラムを実装しており、貯まったポイントを買い物に利用できるのも魅力です。
スマホアプリでお気に入りの店舗をフォローすると、店舗スタッフからおすすめ商品や使い方、イベント情報などが届くため、顧客の来店を促す効果を期待できるでしょう。
画像引用:IDEAPARK
「IDEAPARK」は顧客の要望を聞き、商品開発に活用するサイトです。顧客とのコミュニケーションが取れるので、より需要がある商品の販売につなげています。
保険:オリックス生命保険株式会社
画像引用:オリックス生命保険株式会社
生命保険を販売するオリックス生命保険株式会社は、オムニチャネル戦略として、各部門の統合を実施しました。
オムニチャネルの導入前は、代理店部門やコンサルティング営業部門、銀行窓口販売部門、通信販売部門がそれぞれの顧客に対してサービスを提案。部門間の連携が取れておらず、部門内でしかサービス提供が行えていませんでした。
そこで同社は4部門のオムニチャネル化を実施。各部門を連携させることで顧客の選択肢を増やし、最適なサービスを提案できるようになりました。通信販売チャネルで加入意向を持った顧客で、対面コンサルティングを希望される場合、面談日時の予約受付までワンストップで対応しています。
銀行:株式会社りそな銀行
画像引用:株式会社りそな銀行
個人・法人に向けて預金・融資・投資などの金融サービスを提供する株式会社りそな銀行では、オムニチャネル戦略の1つとして、スマホアプリ開発に取り組んでいます。
スマホアプリ「りそなグループアプリ」を通して、24時間オンライン上で口座残高や明細の確認、振込・定期預金への預け入れなどをできる機能を提供しています。
アプリでは、出金レポートを可視化できるため、利用者は月々の支出額を瞬時に判断することも可能です。口座を開設していれば、銀行窓口やATMに足を運ばなくてもサービスを利用できます。
さらにAIが口座状況や銀行取引を分析し、出費や貯金などのアドバイスを実施。また、運転免許証を撮影して送信するだけで口座開設できるアプリが用意されているのも魅力です。窓口に行く手間がかからないので、昼間に時間が取れない人の利用を促進できます。
球団運営:オリックス野球クラブ株式会社
プロ野球の球団運営を行うオリックス野球クラブ株式会社はオムニチャネルの一部として「オリックス・バファローズ公式アプリ」と「BUFFALOES PREMIUM BOX DX」を運営しています。
画像引用:オリックス・バファローズ公式アプリ
オリックス・バファローズ公式アプリでは、アプリ限定のお得な特典を実施しているのが特徴です。球場お渡しグッズクーポンの配信、オンラインショップ割引券配信、アプリ会員限定入会キャンペーンなどを行っています。
さらに公式アプリには、球場に行くと来場ポイントが付与される機能も搭載。貯まったポイントは「指定席引換券」「球場内で利用できる商品券」などに交換が可能です。
同社はオリックス・バファローズ公式エンタメ有料サイト「BUFFALOES PREMIUM BOX DX」も運営しています。選手やBsGirls(チアリーダー)などの有料サイト内でしか閲覧できないコンテンツを配信しています。ファンに楽しんでもらえるコンテンツを配信し、よりコアなファン獲得につなげています。
オムニチャネルが注目される理由
ここからは、なぜオムニチャネルが注目されるのかを紹介していきます。
顧客接点を増やせる
近年、インターネットやデジタルデバイスの普及により、消費者の購買行動が多様化しています。顧客を獲得するには、変化の激しい消費者のニーズに迅速に対応していかなければなりません。
そこで実店舗やECサイトなど複数チャネルを統合することで、1つのチャネルを利用するよりも顧客接点を増やせることから多くの集客が見込めます。
顧客満足度の向上につながる
消費者は商品・サービスを購入する際に、実店舗だけでなくオンラインショップやスマホアプリなど複数チャネルを利用するようになりました。
オムニチャネルを活用することで、消費者が自分のタイミングで最適な方法を使用して買い物が行えます。そのため顧客満足度が高まりやすく、再購入などの長期的な利用を促せるでしょう。
機会損失を削減しやすい
オムニチャネルを導入せずチャネル間のデータ連携ができていない場合、在庫管理がしづらくなります。実店舗に在庫があるにもかかわらず、ECサイトで在庫切れと表示されると、他社に顧客が流出する恐れがあるでしょう。
オムニチャネルを導入すると、事業者側はチャネルごとのデータが連携しやすくなるため、在庫管理の最適化が可能です。顧客は各チャネルを横断してサービスを利用できるので利便性が高まり、企業側も機会損失を防ぎやすいでしょう。
収集したデータを活用しやすい
オムニチャネルは各チャネルを統合するため、顧客接点が増えてあらゆるチャネルから一人ひとりのデータを収集できます。細かいデータ分析ができるようになり、顧客情報や購買行動に合わせたマーケティング施策を検討・実行しやすくなります。
例えば、データ分析を活用して同じ商品を閲覧している人がよく購入するものを提案すれば、あわせ買いをしてもらえる可能性が高まるでしょう。
オムニチャネルを成功に導くポイント
オムニチャネルを成功させるには工夫が大切なので、ポイントを紹介していきます。
1.ロードマップを作成する
オムニチャネルを導入する際は、いつ、誰が、何をするのかというロードマップを明確にしましょう。やるべきことが明確になれば、迷わずスムーズにオムニチャネルの導入を進められます。
2.課題・提供する価値を明確にする
ターゲットの顧客情報や購買行動を理解し、自社の課題や価値などを明確にすることが重要です。ターゲットに合わせたアプローチをかけられるため、成果を出しやすくなります。
具体的に「関連商品を探しづらい」という課題がある場合、「商品を閲覧している人がよく関心を持つ商品を提案する」といった施策が検討できます。
現状分析をして課題・提供する価値を決めましょう。
3.中長期的に計画を立てる
オムニチャネルは短期間で効果が出るものではありません。中長期的な視点を持って取り組むことで、次第に効果が出るようになります。数年単位で計画を立てて、長期的に取り組みましょう。
4.全社の意識を統一して取り組む
オムニチャネルは部署やチャネルごとの認識を統一する必要があります。一部の部署や担当者のみが実施しても、各チャネルの連携がうまくいかず効果につながりません。全社で統一の認識を持って取り掛かれると、スムーズにオムニチャネルを行えます。
5.ITツール・システムを活用する
オムニチャネルは顧客から収集したデータを元に施策を行うため、全チャネルを横断したデータ管理が重要です。ITツールやシステムを導入してチャネルを統合することで、データの収集や分析がしやすくなります。
ITツール・システムによって、コストや利用できる機能などが異なるので、自分にあうものを選択しましょう。自社の課題や提供する価値などをもとに、最適なものを選定してください。
6.PDCAを回す
オムニチャネルは一度施策を行って終わりではありません。効果測定をしながら、悪い点を改善していく必要があります。また、チャネルから収集されたデータは日々蓄積されていくので、有効活用することが求められます。PDCAを回して、より効果的な戦略につなげましょう。
オムニチャネルを導入する際によくある質問
最後に、オムニチャネルを導入する際によくある質問と回答を紹介します。
マルチチャネル・クロスチャネル・OMO・O2Oとの違いは何ですか?
オムニチャネルに関連する各用語の、それぞれの違いは以下のとおりです。
オムニチャネル |
さまざまなチャネルを統合し、顧客接点を作ってアプローチを行う手法。 チャネルごとの違いを感じにくく、シームレスな顧客体験を提供する。 |
マルチチャネル |
複数のチャネルを持ち、ユーザーが必要とする情報・商品を提供する手法。 オムニチャネルと異なり、各チャネルが独立している。 |
クロスチャネル |
複数のチャネルがあり、顧客情報や在庫情報などのデータを一元化する手法。 一貫したサービスが提供されるわけではない。 |
OMO |
Online Merges with Offlineの略。 オンラインとオフラインを融合させて、サービスを提供するマーケティング手法。 |
O2O |
Online to Offlineの略。 オンラインからオフラインに顧客を誘導するマーケティング手法。 |
導入時のデメリットはありますか?
オムニチャネルを導入する際は、以下のようなデメリットがあります。
- システムの導入・構築にコストがかかる
- 導入してすぐに効果が出るわけではない
- 認知を拡大する対策が必要
- チャネルを総合的に連携させる必要がある
オムニチャネルを実施するにはITツール・システムが必要ですが、導入・構築にコストがかかります。規模が大きいほど、コストが高額になるので注意しましょう。
オムニチャネルは導入してすぐに成果が出るわけではないので、長期的に取り組むことが求められます。また、顧客からの認知を拡大しないと、サービスを利用してもらえません。オムニチャネルの立ち上げ時には、どのように認知を拡大するのかを検討しましょう。
オムニチャネルの事例を紹介しました
ここまでオムニチャネルの事例や成功ポイントなどを紹介しました。さまざまな業種の企業がオムニチャネルに取り組んで成果を出しています。
これから取り組むなら、すでに導入している事例を参考にすることで、自社での活用イメージをつかめるでしょう。本記事を参考に、オムニチャネルの導入を進めてください。
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