越境ECで重要な物流とは?課題や物流の方法・考慮したいポイントを解説!

越境ECで重要な物流とは?課題や物流の方法・考慮したいポイントを解説!

越境ECで販売した商品は、当然、海外発送しなければならない。では越境ECの物流はどうすればいいのか?

そんな疑問を持つEC担当者の方に向け、重要性から課題、物流の方法、対応する配送会社、考慮しておきたいポイントまで、越境EC物流の基本を解説していきます。

なお、ECサイト制作会社の探し方・選び方がわからない!という方はEC幹事にお気軽にご相談ください。貴社の目的・予算に合った最適な会社を厳選してご紹介します。相談料・会社紹介料などは無料です。

【無料】ECサイト制作会社を紹介してもらう
※関連サイト「Web幹事」に遷移します
目次
  1. 1. 注目の高まる越境EC市場
  2. 2. 越境ECで物流が重要なのはなぜか
    1. 2-1. 物流コストが売上に影響する
    2. 2-2. 不安定な物流は顧客満足度に影響する
  3. 3. 越境EC物流の課題
    1. 3-1. 対象国によって異なるリードタイム
    2. 3-2. 破損リスクを防止する梱包が必須
    3. 3-3. 煩雑な通関手続き
  4. 4. 越境ECでよく使われる物流方法
    1. 4-1. 自社倉庫から個別海外発送
    2. 4-2. 対象国の保税倉庫 / 現地倉庫から個別発送
    3. 4-3. 海外発送を物流代行会社にアウトソーシング
  5. 5. 越境ECの個別海外配送に対応する配送会社
    1. 5-1. 日本郵便
    2. 5-2. クーリエ便(国際宅配便)
  6. 6. 越境EC物流で考慮しておきたいポイント
    1. 6-1. 配送会社は複数確保しておく
    2. 6-2. 成長ステージに応じて物流方法を見直す
  7. 7. 越境ECで重要な物流を解説しました

注目の高まる越境EC市場

越境ECとは、「国境を超える」「電子商取引(Electric Commerce)」を目的としたECビジネス、またはECサイトのこと。越境ECは、近年、特に注目されているECビジネスの1つです。

なぜなら、市場が縮小傾向にある日本国内と異なり、越境ECなら拡大を続ける世界のEC市場を商圏にできるからです。特に、2026年には4兆8,200億ドル(約674兆8,000億円、1ドル140円換算)になると予想されている「世界の越境EC市場規模」は魅力的。他国では手に入らない日本独自の商材をアピールできれば勝算も見出せます。

越境ECで重要な物流とは?課題や物流の方法・考慮したいポイントを解説!_4

画像出典:経済産業省「令和3年度 電子商取引に関する市場調査」

ただし、越境ECにチャレンジするには「言語」「物流」「決済」という3つの課題をクリアしなければなりません。本記事では、なかでも重要な「越境EC物流」にフォーカスして解説していきます。

越境ECの決済については以下の記事もあわせてご覧ください。

関連記事:越境ECの決済サービスはどう選ぶ?世界で主流の決済方法・選び方を解説!

越境ECで物流が重要なのはなぜか

越境EC物流が重要な理由は「売上」「顧客満足度」という、ECサイトの運営者 / ユーザー双方にとっての影響が大きいからにほかなりません。同じことは「言語」「決済」にもいえますが、物流が越境ECビジネスに与える影響はより直接的です。

物流コストが売上に影響する

越境ECの物流コストは国内ECよりも高額であるため、コスト削減できなければ「配送料」に反映させざるを得ません。これは越境ECで販売する商品の「競争力」を低下させ、売上に大きな影響を与える要因です。

たとえば、日本のAmazonは越境ECに対応しており、海外配送対応の出品者を探すことも可能。しかし、同じ商品でも各出品者の海外配送料は大きく異なります。商品が安価でも、配送料を含むトータル金額で負けていたのでは購入してもらえません。たとえ、ほかでは取り扱いのない商品であっても、配送料があまりに高額なら購入を躊躇されてしまうでしょう。

商品を保管する倉庫の管理、適切な配送会社の選定など、コストを最適化する「効率的な物流の仕組み」を確立することが重要です。

不安定な物流は顧客満足度に影響する

適切な配送料も要因の1つになりますが、商品を「素早く」「確実に」手元に届けることも顧客満足度を高める大きな要因です。しかし越境EC物流は、商品の破損 / 紛失リスクが高く不安定になりやすいため、顧客満足度の低下だけでなく、クレームなどのトラブルに発展しやすい一面があります。

逆に、素早く・確実に商品を届けられる「効率的かつ安定した物流の仕組み」を確立できれば、顧客満足度を高めることが可能。満足度の高まったユーザーをリピーターとして獲得することも期待できます。

【無料】ECサイト制作会社を紹介してもらう
※関連サイト「Web幹事」に遷移します

越境EC物流の課題

越境ECで重要な物流とは?課題や物流の方法・考慮したいポイントを解説!_1

国内ECと異なり、越境ECで「効率的かつ安定した物流の仕組み」を確立するには、解決すべきいくつかの課題があります。以下から簡単に解説していきましょう。

対象国によって異なるリードタイム

世界各国を対象とする越境EC物流は、受注から商品到着までの日数(リードタイム)が配送国によって異なります。これは距離的な問題のほかに、船便 / 航空便など、輸送方法の違いがリードタイムに大きく影響するからです。

安いからと船便を選んでしまうと、商品到着までに2か月以上かかってしまうことも。輸送方法を含め、越境EC対象国までのリードタイムを把握し、適切な方法を選定することが重要です。

破損リスクを防止する梱包が必須

越境EC物流では、商品の紛失 / 破損リスクが高くなることは上述した通り。これは日本と比較した場合、海外の物流クオリティが高いとはいえないからです。特に商品の取り扱いは乱雑になる傾向があり、「FRAGILE」のステッカーを見逃されることもしばしば。つまり、越境EC物流では、商品を手荒に扱われても破損しない「梱包」が必須です。

サイズ / 重量がかさんで配送料が高くならない程度に、厳重に梱包することがポイント。緩衝材を工夫するだけでも破損リスクを低減できます。

煩雑な通関手続き

伝票を貼って宅配業者に渡すだけの国内物流と違い、インボイス発行や通関にともなう煩雑な手続きを必要とするのが海外物流の特徴。書類や手続きに不備があれば、リードタイムが伸びてしまうだけでなく、配送がストップしてしまう場合もあります。

また、購入者負担が原則となる関税支払いも、DDP / DDUという2つの方法があることに注意が必要。DDPとは「商品販売時にあらかじめ関税・送料・手数料を徴収し、配送時に売り手側が支払う方式」のこと。DDUとは「商品到着時に、顧客が関税等の料金を配送業者に支払う方式」のことです。

煩雑な通関手続きをスムーズに進めるには、越境ECに精通した物流 / 配送会社を選定することがポイント。関税の支払いで顧客を混乱させないためには、DDP / DDUに対応する越境ECに適したプラットフォームを選定することがポイントです。

越境ECにおすすめのShopifyについては以下の記事もあわせてご覧ください。

関連記事:Shopifyで越境ECをはじめるには?おすすめの理由・事例・成功のポイントを解説!

越境ECでよく使われる物流方法

 

メリット

デメリット

自社倉庫から

個別海外発送

在庫管理が容易、国内向けと

ワークフローが変わらない

受注ごとに通関手続きが必要、

配送料が割高

対象国の保税倉庫 /

現地倉庫から個別発送

輸送コストを抑えられる、通関手続きは1度、

商品到着までのリードタイムを短縮可能

倉庫を確保するコストが必要、

繁閑時の在庫コントロールが困難

物流代行会社に

アウトソーシング

代行会社に商品を送るだけで済む

委託手数料がかかる

ここまでで、なぜ越境ECの物流が重要なのか、越境ECならではの物流課題はなにかを解説してきました。これらを踏まえた上で、まずは自社ビジネスの状況に応じた「適切な海外配送方法」を選択することが重要です。

商品を海外配送するにはいくつかの方法がありますが、自社型越境ECサイトでよく利用される、3つの物流方法を紹介しておきましょう。

自社倉庫から個別海外発送

多くの越境ECサイトに採用されている物流方法が、受注するごとに、都度自社倉庫から個別海外発送する方法です。在庫管理しやすく、国内向けと大きくワークフローも変わらないため、継続的に受注はあるが取引件数はそれほど多くない越境ECサイトに適しています。

一方、受注ごとに通関手続きが必要なこと、配送料が割高なことはデメリット。取引件数が多くなるとデメリット面も大きくなります。

対象国の保税倉庫 / 現地倉庫から個別発送

越境EC対象国の保税倉庫 / 現地倉庫を活用し、在庫を国内配送する方法です。この方法のメリットは、商品をまとめて配送するため輸送コストを抑えられ、通関も1度で済むこと。現地の倉庫から国内配送するため、リードタイムを短縮できることです。取引件数が多く、単価の高い商材を取り扱う越境ECサイトに適しているといえるでしょう。

ただし、現地倉庫を確保するためのコストがかかることはデメリットです。在庫が次々入れ替わるほど売れているなら問題ありませんが、販売が停滞したときのコントロールは困難。ある程度のリスクがともなう方法です。

海外発送を物流代行会社にアウトソーシング

越境ECへ参入したばかりの事業者におすすめなのが、海外発送を物流代行会社にアウトソーシングする方法です。受注した商品を物流代行会社に送るだけのため、面倒な通関手続きを意識することなく越境ECにチャレンジできます。取引件数の増大で個別配送が難しくなった事業者にもアウトソーシングはおすすめ。リソースをコア業務に集約できます。

ただし、委託手数料がかかることはデメリット。物流代行会社によっては、希望する国 / 地域に対応できないこともあります。

【無料】ECサイト制作会社を紹介してもらう
※関連サイト「Web幹事」に遷移します

越境ECの個別海外配送に対応する配送会社

それでは、越境ECでもっとも一般的な物流方法である「個別海外発送」の場合、どのような配送会社に依頼すればいいのか?選択肢となるのは「日本郵便」もしくは「クーリエ便」です。

日本郵便

越境ECで重要な物流とは?課題や物流の方法・考慮したいポイントを解説!_9

画像出典:日本郵便株式会社

万国郵便連合に加入している「日本郵便」は、世界120か国以上への海外配送に対応しています。国際スピード郵便である「EMS」がよく知られていますが、航空便、船便など、用途に応じて配送方法を選択可能です。主な海外配送方法を紹介しておきましょう。

 

特徴

EMS

(国際スピード郵便)

最大30kgまで、最短2〜4日で配送。

日本郵便ではもっとも速い

航空便

3〜6日で配達

エコノミー

航空(SAL)便

6〜13日で配達。

航空便よりも安価だが、対象国が限定される

船便

1〜3か月で配達。もっとも安価

参考:日本郵便

クーリエ便(国際宅配便)

クーリエ便とは、民間企業が提供する国際宅配便のこと。配送料は日本郵便よりもやや割高ですが、リードタイムを短縮できることがメリット。豊富なオプションが用意され、補償を含むサービスも充実しているため、高額商品を海外配送する場合に最適です。

DHL、FedEXなどのグローバル大手のほか、ヤマト運輸も国際宅配便サービスを提供しています。

DHL Express

越境ECで重要な物流とは?課題や物流の方法・考慮したいポイントを解説!_5

画像出典:DHL Express

FedEx

越境ECで重要な物流とは?課題や物流の方法・考慮したいポイントを解説!_8

画像出典:FedEX

UPS

越境ECで重要な物流とは?課題や物流の方法・考慮したいポイントを解説!_7

画像出典:UPS

ヤマト運輸

越境ECで重要な物流とは?課題や物流の方法・考慮したいポイントを解説!_6

画像出典:ヤマト運輸

越境EC物流で考慮しておきたいポイント

越境ECで重要な物流とは?課題や物流の方法・考慮したいポイントを解説!_10

「どの宅配業者に依頼するか?」を考慮すればいい国内物流と異なり、越境EC物流は「取扱商品の特徴、対象国、取引規模」で最適解が異なります。最後に、越境ECの物流を最適化するために考慮しておきたいポイントを紹介しておきましょう。

配送会社は複数確保しておく

受注ごとに個別配送する越境ECサイトであれば、配送会社を複数確保しておきましょう。配送会社によって特徴が異なるため、商品に応じて適切な配送会社を使い分けるためです。

たとえば、EMSは30kgまでの荷物に限定されますが、FedEXなら68kgまで、UPSなら70kgまでの荷物を海外配送可能です。一方、ヤマト運輸は25kgまでの荷物に制限されるものの、200か国以上の国 / 地域への配送が可能。重量貨物に対応するUPSですが、GDP上位20か国への配送に限定されてしまいます。

成長ステージに応じて物流方法を見直す

越境ECビジネスの成長ステージに応じて、適切な物流方法はなにか?都度、見直していきましょう。

たとえば、越境ECの物流アウトソーシングは、市場参入したばかりの事業者だけでなく、個別配送していた事業者の乗り換えにもおすすめです。委託手数料がかかるのは事実ですが、ボリュームディスカウントによる配送コスト削減効果が期待できるため、トータルコストはそれほど変わらない場合があるからです。

アウトソーシングによって販売に集中できる環境が整えば、多少のコスト増を吸収できるだけでなく、ビジネスのさらなる成長も可能です。対象国で確固たるブランドを確立できれば、保税倉庫 / 現地倉庫の活用も視野に入ってきます。

越境ECで重要な物流を解説しました

越境ECで販売した商品は、当然、海外発送しなければならない。では越境ECの物流はどうすればいいのか?そんな疑問を持つEC担当者の方に向け、重要性から課題、物流の方法、対応する配送会社、考慮しておきたいポイントまで、越境EC物流の基本を解説してきました。

取扱商品の特徴、対象国、取引規模などの要因で、越境ECの最適な物流方法は異なります。自社のリソースを含めた状況を整理し、適切な方法をチョイスしてください。

なお、ECサイト制作会社の探し方・選び方がわからない!という方はEC幹事にお気軽にご相談ください。貴社の目的・予算に合った最適な会社を厳選してご紹介します。相談料・会社紹介料などは無料です。

【無料】ECサイト制作会社を紹介してもらう
※関連サイト「Web幹事」に遷移します