ECモールとは?特徴・種類・自社ECサイトとの違い・主要ECモールを紹介!
はじめてネットショップを開設するならECモールがおすすめだと聞いたが、ECモールとは?ECサイトとなにが違う?
そんな疑問を持つEC担当者の方に向け、特徴から種類、自社型ECサイトとの違い、メリット・デメリットまで、ECモールとはなにかを解説!国内の主要ECモールも紹介していきます。
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ECモールとは
ECモールとは、楽天市場やAmazonなどに代表されるショッピングモール型ECサイト / ECプラットフォームのこと。現実のショッピングモールと同じように、1つの施設(ECサイト)内のスペースを、多数の出店者 / 出品者でシェアすることをイメージしてもらえばわかりやすいでしょう。
ECモールの特徴
ECモールの特徴として挙げられるのは「知名度が高い」こと、そして「手軽に出店 / 出品できる」こと。たとえば、オンラインショッピングの経験がない方でも、楽天市場やAmazonの存在は知っているはずです。そのため、ECモールは膨大な売上金額を誇ります。
参考までに、国内3大ECモールの年間売上金額を紹介しておきましょう。
楽天市場 |
5兆6,560億円 (2022年1月〜12月) |
|
Amazon |
2兆5,355億円 (2021年1月〜12月、推定) |
|
Yahoo!ショッピング |
8,364億円 (2022年4月〜2023年3月) |
ショッピングモールなどの現実のモールは新規出店のハードルは高め。しかし、バーチャルなECモールなら簡単に出店 / 出品可能。サービスの登録・契約後に簡単な設定を済ませ、商品登録すれば素早くEC事業を開始できます。
ECモールの種類
種類 |
特徴 |
テナント型ECモール |
モール内の一部に出店する。 ECモールのなかではもっとも自由度が高い |
マーケットプレイス型 ECモール |
モールに商品を出品する。 気軽に利用できるが自社の存在をアピールすることは困難 |
統合管理型 / マルチブランド型ECモール |
複数のブランドを持つ企業が独自に構築するECモール。 他社が出店することはできない |
知名度が高く、手軽に出店 / 出品できる特徴を持つECモールは「テナント型」「マーケットプレイス型」という2つの種類に分類できます。また、これとは別の特徴を持つ「統合管理型 / マルチブランド型」というECモールも存在します。
それぞれを簡単に解説しておきましょう。
テナント型ECモール
テナント型ECモールとは、文字通り「ECモール内のスペースを借りてネットショップを出店する」ECモールのこと。楽天市場、Yahoo!ショッピングなどがテナント型ECモールの代表例です。
自社専用のスペースを借りるため、一定の範囲内でショップデザイン・レイアウトを変更でき、ある程度のブランディングも可能。現実のショッピングモールにもっとも近い運営形態なのが、テナント型ECモールだといえるでしょう。
マーケットプレイス型ECモール
マーケットプレイス型ECモールとは、ネットショップを出店するのではなく「商品を出品する」ECモールのこと。Amazonマーケットプレイスがマーケットプレイス型ECモールの代表例です。
商品を出品するだけのマーケットプレイス型は、ネットショップを出店するテナント型より、さらに気軽に利用できることが特徴。一方、ECモール内の「店舗」という概念に欠けるため、ブランディングやショップの独自性をアピールするのには向いていません。
統合管理型 / マルチブランド型ECモール
統合管理型ECモールとは、複数のブランド / ショップを運営する企業が、EC事業を一元化する目的で構築するECモールのこと。そのため、マルチブランド型ECモールと呼ばれる場合もあります。
たとえば、通販サイト「Wondertable Mall」は、複数ブランドのレストランを経営するワンダーテーブルがShopifyで構築した統合管理型ECモールです。自社で独自ECモールも構築できるという事例ではありますが、一般的なECモールの概念とは異なるため、本記事では触れません。
マルチブランド型ECモールの事例については以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:Shopify事例12選|オンラインビジネスへの導入効果を業種別に紹介!
ECモールと自社ECサイトの違い
ここまでで、ECモールとはなにか?特徴や種類を解説してきましたが、ネットショップを開設するには「自社型ECサイト」という方法もあります。
では、ECモールと自社ECサイトはなにが違うのか?
簡単にいうと、ECモール出店が「モールへのテナント出店 / 出品」であるのに対し、自社ECは「独立したロードサイド店、路面店を開業する」イメージ。「ECサイト」といった場合は、自社ECを意味する場合がほとんどです。
主な違いは以下の通り。
ECモール |
自社ECサイト |
|
運営の主体 / システム保守 |
ECモール |
自社 |
ドメイン(URL) |
ECモールのドメイン |
独自ドメインの利用が可能 |
初期費用 |
安価 |
無料〜数百万円 (利用するプラットフォーム、 カスタマイズ度合いによる) |
ランニングコスト |
出店料 システム手数料 サービス利用料など |
サービス利用料 システム運用 / 保守費用 決済手数料など (利用するプラットフォームによる) |
自社型ECサイトについては以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:ECサイトとは?種類・構築方法や必要な機能・運営業務・集客方法を解説!
自社ECと比較したECモールのメリット
それでは、ECモールと自社ECサイトの違いを踏まえた上で、ECモールへの出店にはどのようなメリットがあるのか?自社ECと比較しながら解説していきましょう。
手軽に素早くEC事業をスタートできる
手軽に素早くEC事業をスタートできるのは、ECモールの特徴であり、大きなメリットでもあります。これは、ECモールのプラットフォームに、簡単な操作でテナント出店、商品出品できる仕組みが整えられているから。上述したように、簡単な設定と商品登録さえ済ませれば、素早くEC事業をスタートできます。
手軽なASPを利用できるとはいえ、自社ECサイトの開業までには時間も手間もかかります。ショップデザインにこだわるなら、ASPでも数週間から1か月。パッケージなら開業までに数か月から半年かかる場合もあります。
ECモールの集客力を利用できる
知名度の高いECモールへの出店は、モール自体の持つブランド / 圧倒的な集客力を利用できるメリットがあります。ECモールに集まった顧客が各テナントを回遊してくれるため、集客施策をするまでもなく、あなたのショップを訪問してくれる可能性が高いというわけです。
自社ECサイトではこうはいきません。特に開業したばかりで知名度のない自社ECサイトは、人通りのない裏路地に路面店を出店するようなもの。自社ECサイトでは、Web広告、コンテンツマーケティング、SNSマーケティングなどの集客施策が必須の業務です。
自社型ECサイトの集客については以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:自社ECサイトへの集客方法|集客の基本・具体的な方法・成功のポイントを解説!
自社ECよりも購入率が高い
高い購入率が期待できることも、ECモールへ出店するメリットです。一般的に、自社ECサイトの購入率は1〜2%程度だといわれていますが、ECモールでは5%前後が期待できます。
これは、ECモールへ訪問するユーザーが「購入を前提」にしていること。そして、ECモールの持つブランドが、ユーザーに安心感を与えているからです。ブランド力が信頼につながるECモールなら、ユーザーは安心してクレジットカード決済できるでしょう。
サポートが充実している
ECモールには、EC初心者でも安心して出店 / 出品できるよう、各種サポートプログラムが用意されているメリットがあります。たとえば、出店や販売に関するコンサルティングサービス、物流代行サービスなど。定期的なキャンペーン / セールなど、ECモール自体が販促活動を展開してくれることもメリットだといえるでしょう。
自社ECサイトの場合、集客はもちろん、開業から運営、物流、販促まで、原則として事業者の責任。サポート関連をアウトソーシングする場合も費用がかかります。
自社ECと比較したECモールのデメリット
メリットの大きいECモールではありますが、デメリットもあります。自社ECサイトを開業する法人 / 個人が多いことからもそれは明白。それでは、ECモールへの出店にはどのようなデメリットがあるのか?自社ECと比較しながら解説していきましょう。
利益率を確保しにくい
ECモールは、サイト構築の初期費用を抑えながら簡単に出店 / 出品できる反面、ランニングコストが高くなる傾向にあります。ランニングコストの内訳はECモールによって異なるものの、システム利用料、販売手数料などの各種手数料を差し引かれることを覚えておきましょう。このため、売上が大きくなるほど利益率を確保しにくいデメリットがあります。
もちろん、自社ECサイトであってもランニングコストはかかりますが、販売した商品にかかるのは決済手数料のみ。ランニングコストを維持しながら売上を拡大できれば、当然、利益率も確保しやすくなります。
ショップの独自性をアピールしにくい
ストアフロントのデザインを変更できるサービスはあるものの、ECモールのカスタマイズは事実上不可能です。つまり、ECモールにはデザインや機能面で他社と差別化が難しく、ショップの独自性をアピールしにくいデメリットがあります。
一方の自社ECサイトは、構築方法による違いはあるものの、ECモールに比べれば柔軟性・自由度は高いといえるでしょう。アプリやオプションで機能を拡張できるサービスも多く、ショップフロントをオリジナルデザインにカスタマイズすることも可能です。
価格競争になりやすい
多数のショップが出店 / 出品するECモールは、取扱商品のバッティングする競合他社との兼ね合いで価格競争になりやすいデメリットがあります。ECモール内を回遊するユーザーが最安値のショップを見つけやすいからです。マーケットプレイス型では、価格を安くしないと候補として表示されない場合もあります。
価格を比較されるという意味では自社ECサイトも同じですが、サービスで差別化する、ポイントで顧客を囲い込むなどの対策を講じる余地があります。ショップの独自性をアピールしやすい自社ECサイトは、価格競争に巻き込まれるリスクは少ないといえるでしょう。
顧客情報の入手が制限される
ECモールには、顧客情報の入手を制限されるというデメリットもあるため、リピーター獲得に向けたマーケティング施策を充分に実施できない傾向があります。
キャンペーンなどの独自企画が難しいこともあり、ショップのファンを獲得したい、ブランディングしたいというニーズには向いていません。
自社ECサイトなら、顧客情報の収集・活用はもちろん、サイトへのアクセスデータすべてを収集・活用可能。データにもとづいたサイト改善やマーケティング施策を実行できます。
国内の主要ECモール5選
楽天市場
画像出典:楽天市場
楽天市場は、1996年にスタートした国内初のECモールです。流通金額、利用者数ともに国内最大規模のテナント型ECモールであり、抜群の知名度 / 集客力を誇ります。国内ECモールのなかでは出店コスト / 手数料は高めな一方、手厚いサポートを得られることが特徴。
比較的ショップデザインの自由度があるため、集客力のあるモールに出店したい、しかし、なるべくショップの独自色をアピールしたいという方におすすめです。
Amazon
画像出典:Amazon
2000年にオンライン書店として日本サイトをスタートさせたのがAmazonです。2001年以降に取扱ジャンルを拡大し、2002年にマーケットプレイス型ECモール「Amazonマーケットプレイス」を開始。現在では、だれもが知る抜群の知名度と集客力を持つ国内3大ECモールへと成長しました。
商品が競合に埋もれてしまいやすい面はあるものの、手数料がシンプルで1つから簡単に出品できることが特徴。Amazonの集客力を利用したい、少人数体制のためオペレーションを簡略化したいという方におすすめです。
Yahoo!ショッピング
画像出典:Yahoo!ショッピング
ZOZOの買収など、国内3大ECモールではやや劣勢だった地位を回復すべく、攻勢をかけているのがテナント型ECモールのYahoo!ショッピングです。初期費用 / 月額費用無料で出店しやすいことが特徴。PayPayと連動したポイントプログラムも魅力です。
楽天市場 / Amazonほどの集客力はありませんが、できるだけ費用を抑えて出店したい、PayPayポイントを活用したいという方におすすめです。
au PAYマーケット
画像出典:au PAYマーケット
2017年にスタートした、比較的新しいテナント型ECモールが、auの運営するau PAYマーケットです。auの公式ECサイトということもあり、流通金額の97%がスマートフォン経由。初期費用無料のほか、商品カテゴリと売上に応じて手数料率が決定する、シンプルな費用体系「コミコミ出典プラン」を採用しているのが特徴です。
auユーザーやスマートフォンユーザーにリーチしたい方におすすめです。
Qoo10
画像出典:Qoo10
Qoo10は、アメリカのマーケットプレイス型ECモール「eBay」が運営するテナント型ECモールです。販売にかかる費用が、商品カテゴリに応じた手数料のみという成果報酬型であることが特徴。Web広告、各種アフィリエイトサイトと連携しており、モール自体が集客に積極的なのもポイント。越境ECにも簡単にチャレンジできます。
リスクなしでECモールに出店したい、商品を海外でも販売してみたいという方におすすめです。
ECモールの出店コスト / 手数料は?
「ECモールの特徴やメリット・デメリット、主要なECモールは把握した。では、実際に出店する場合にどのくらいのコストがかかるのか?」そんな方に向け、主要ECモールの出店コスト / 手数料をまとめました。
楽天市場 |
Amazon |
Yahoo!ショッピング |
au PAYマーケット |
Qoo10 |
|
初期費用 |
66,000円 |
無料 |
無料 |
無料 |
無料 |
月額費用 |
がんばれ!プラン: 21,450円 / 月 スタンダードプラン: 55,000円 / 月 メガショッププラン: 110,000円 / 月 |
小口出品: 110円 / 商品 大口出品: 5,390円 |
無料 |
5,280円 |
無料 |
手数料 |
がんばれ!プラン: 月間売上の3.5〜7.0% スタンダード / メガショッププラン: 月間売上の2.0〜4.5% その他手数料 楽天ポイント:購入額の1% システム利用料:月間売上の0.1% アフィリエイト:2.6%〜 R-Messe: 月額固定3,300円〜 + 従量料金 |
販売手数料: 商品に応じて 6〜45% |
ストアポイント 原資負担:1〜15% キャンペーン 原資負担:1.5%〜 アフィリエイトパートナー 報酬原資:1〜50% アフィリエイト手数料: アフィリエイトパートナー 報酬原資の30% ストア決済サービス手数料: 決済方法による |
販売手数料: 商品カテゴリ / 売上に応じて 4.5〜9.0% |
販売手数料: 商品カテゴリ に応じて 6〜10% + 消費税 |
選ぶのはECモール?自社EC?
ECモール出店は魅力的だが、自社ECサイトを開設するのとどちらがいいのか?ここまでの解説で迷ってしまった方も多いかもしれません。そんな方に向け、ECモール / 自社ECサイトを選択する際のヒントとなるポイントを紹介します。
ブランド / 商品力で判断
自社のブランド力 / 取扱商品が、ECモール / 自社ECどちらが適しているのかを考えていきましょう。
たとえば、競合の多い商品を取り扱っている場合、自社ECで集客するのは簡単ではありません。価格競争になりがちではありますが、ECモール出店なら集客力があるため露出を増やせます。逆に、他では取り扱いのない商品であれば、自社ECで地道に集客していくことで、ショップ自体のブランド価値も高められるでしょう。
自社のブランド力に関しても同じことがいえます。すでにブランド力のある企業がECに参入するなら、それを活かせる自社ECがベストです。
集客 / マーケティングスキルで判断
自社内に集客 / マーケティングのリソースがあるか?ないか?という観点で判断するのも一つの方法です。
本文内でも解説したように、ECモールはそれ自体が高い知名度と大きな集客力を持つため、集客 / マーケティングの知識・スキルがなくても売上を作れる可能性があります。利益率は下がるかもしれませんが、EC事業の経験が浅く、集客に自信を持てないならECモールへの出店がおすすめです。
一方、集客 / マーケティングのリソースがあるのなら、自由度の高い自社ECで利益を確保しながら成長を目指す方法がおすすめ。自社ブランドの価値を高めていくこともできます。
マルチチャネル運営もおすすめ
ECモール、自社ECどちらかに絞るのではなく、どちらも運営するマルチチャネル運営を選択する方法もあります。むしろ、顧客の流入経路 / 販売チャネルを増やせる、どちらのメリットも活かせるという意味では、マルチチャネル運営がベストでしょう。自社ECサイトを運営する大手企業が、ECモールにも同時出店していることからも明らかです。
ECモールの種類、メリット・デメリットを紹介しました
はじめてネットショップを開設するならECモールがおすすめだと聞いたが、ECモールとは?ECサイトとなにが違う?そんな疑問を持つ方に向け、特徴から種類、自社型ECサイトとの違い、メリット・デメリット、国内主要ECモールまで、ECモールとはなにかを解説してきました。
初心者向けというイメージのあるECモールですが、集客力をはじめとした自社ECにはないメリットも少なくありません。ECモールと自社EC、どちらがいいということではなく、ECビジネスに対する考え方によってうまく使い分けていくことが肝心です。
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